« 単行本熱望コミックなど | Main | SubversionとTortoise »

2004.01.21

Magnatune:あるレコード会社の冒険

ネット配信専門レコードレーベルMagnatuneの記事がLinux Journal 2004年2月号に掲載されていた。媒体と記事の結びつきが興味深い。

Magnatune は、ネット販売オンリーのレコード会社である。契約しているアーティストの曲は、全曲(アルバムごと)ネットワーク経由で自由に聴くことが出来る。また個人で楽しむ範囲では、自由にダウンロード出来て、ウェブでダウンロード可能にしたり、P2Pで共有したり、人にコピーしてあげて構わないことになっている。

このようにダウンロードできるのはMP3 128Kのデータ。希望すれば購入できるのだが、購入可能なものはWAVファイル、FLACファイル、OGG、MP3など。つまり用途に応じて好きなものを好きなだけダウンロードできる。WAVやFLACからCDに焼けば、原理的にはプレスしたCDと同等の音質となる。

売り物には大きく分けて2種類あって、ひとつはアルバム単位でのファイル購入。ここでも特徴的なのは、価格が流動的であること。$5から$18までの間で、妥当と思われる価格を購入者が設定する。会社の設定した初期値は$8で、現在までの購入履歴平均は$9.28だそうだ。これも大変興味深い。

もう一つの売り物は、商用利用時のライセンス販売。聴いて気に入った曲を、例えば自分の作る映画に使いたいとか、そうした場合の利用ライセンスを販売している。

利益配分方法も、通常のレコード会社とは大きく異なる。50%がレコード会社、そして残りの50%はアーティスト本人に渡る。この点がはっきりしているので、購入者はかなりダイレクトにアーティストに対して金銭的支援が行えるという面がある。

レコードレーベルであることによって、契約するアーティストはレーベルによりスクリーニングされる。そこが例えば、お金を出せば自分の曲をサイトにアップできる、というタイプの既存サービスとは大きく異なる。アーティストが費用を負担して曲をサイトに登録するというのは、言ってみれば貸し画廊を使って展覧会を行う画家と同じである。貸し画廊は作品の質を判断する訳ではない。場所をレンタルしているだけなので、借りてくれる人が多ければ儲かる。入場者の有無は画廊には関係ない。Magnatuneのビジネスモデルでは、売れなければレコード会社もまったく儲からないことになる。

・・・というMagnatuneの提示する「オープン・ミュージック」という概念や企業としてのビジネスモデル紹介が半分。記事の残り半分は、これを実現しているMagnatuneサイトのシステム構築に関する技術的な解説である。このサイト構築は、LinuxベースのOS上で、さまざまなオープンソースリソースを活用して実現していたのだ。

執筆者はMagnatuneの創設者。彼自身が音楽ファンであり、プログラマであるそうだ。

個人的に非常に応援したい試みである。是非サイトにアクセスして、企業理念や設立趣意などをじっくり読んでみていただきたい。アーティストとリスナーの幸せな関係を築く可能性を私は感じるのだ。

|

« 単行本熱望コミックなど | Main | SubversionとTortoise »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4605/122076

Listed below are links to weblogs that reference Magnatune:あるレコード会社の冒険:

« 単行本熱望コミックなど | Main | SubversionとTortoise »