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2004.05.08

日本レコード協会の声明文はこう読む

音楽配信メモさん5月7日付け記事からの情報。
日本レコード協会のサイトに、「日本の洋楽ファンの皆様へ」と題した文章が掲載されたとのこと。音楽配信メモの津田さんは、

だが、悲しいかな欧米メジャーのブランチである(全ての会社ではないけど)彼らに、そんなことを「確約」できる権利なんかないんだよね。

と書かれているが、私は少し違う受け取り方をした。これは原文をどう読むか、という問題なのだが。
短い文なので下記に引用します。
現在、国会で「商業用レコードの還流防止措置」を導入する著作権法一部改正法案が審議されており、この法案に対し、一部の方々から「欧米諸国からの洋楽直輸入レコードが買えなくなるのではないか」との不安の声が寄せられております。しかし、私たちは、欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている日本の音楽愛好家の方達に何ら不利益、不自由を与えることなく、今後ともこのような状況を維持し、さらに多くの洋楽レコードを提供してまいりますので、ご安心いただきますようお願い申し上げます。

ポイント 1
現在、国会で「商業用レコードの還流防止措置」を導入する著作権法一部改正法案が審議されており、この法案に対し、一部の方々から「欧米諸国からの洋楽直輸入レコードが買えなくなるのではないか」との不安の声が寄せられております。

まず「不安」という言葉を使っていることに気づきます。つまりは、それは杞憂ですよ、と言いたいわけです。そして不安の内容は、「直輸入盤が買えなくなること」なのですが、そこになぜか「欧米諸国」と限定されているのが気になります。今回の法案では、アジア、アフリカ、アラブ、ラテンアメリカなどどこからだって買えなくなるはずなのですけれど。

ポイント 2
しかし、私たちは、欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている日本の音楽愛好家の方達に何ら不利益、不自由を与えることなく、今後ともこのような状況を維持し、さらに多くの洋楽レコード提供してまいりますので

長い文章ですね。まず主語は「私達は」ですから、この声明を出している人々は、と始まっています。述語は最後の「提供してまいります」のところです。
目的語は「方達に」です。それがどういう人かというと「音楽愛好家」です。「日本の」です。
それを修飾しているのが「欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている」という部分です。
言い換えてみますと、
「私達は、現在直輸入盤を楽しんでいる音楽愛好家の方に」となります。

そして結論部です。さて、どんな結論をもって、最後に「安心しろ」と言っているのでしょうか?
よく読んでみますと、言っていることは結局「さらに多くの洋楽レコードを提供します」ということだけ。

どうですか? 輸入盤のことなんて一言も言ってないですよね?
つまり、この文章はこうも理解できるのではないでしょうか。

「輸入権によって直輸入盤は禁止になる可能性が大きいですが、今まで輸入盤を買われてきた洋楽ファンの方々に対して、これからも多くの、今までよりも多くの洋楽レコードを提供します。中身は洋楽です。日本盤ですけれど。どんどんカタログは充実させます。ですから選択には不自由させません。さらに全国津々浦々同一の価格で提供しますから、どなたも不利益を被ることはありません。CCCD? もちろんCCCDだけではなく、次世代コピーコントロールはどんどん導入していきます。技術の進歩に合わせて、今まであったような問題もなくなりますよ。私達は業界の総力を結集して、どんどん洋楽CCCDを提供していきます!」


要するに、「これからも、自由に海外直輸入盤が入手できる環境を維持することをお約束します」と一言書けば済むはずのところに、「今後ともこのような状況を維持します」(だからどういう状況のことだよ!(笑))という極めて曖昧な、欠陥声明文を掲載している訳です。

つまり何を約束しているわけでもなく、せいぜい読み取れることは「これからも洋楽レコードは手に入りますよ」ということだけ。この文章をうまいこと誤読してくれて、「なあんだ、輸入盤のことは心配要らないじゃん」と安心してくれる洋楽ファンがいれば儲けモノ、ということなのではないでしょうか?

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