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2004.05.09

これから若者たちは・・・・

日本レコード協会の声明文はこう読むの記事に対して、多くのトラックバックをいただきました。淡々と好き勝手なことを書かせていただいているこのblogでの、今のところ最も多いトラックバックであります(笑)。病人の付き添いで、朝まで病院にいた日の明け方あたりに書いたもので、今読み返すと微妙に言葉足らずだったという反省もあります。

時々思い出したように書いてはいますが、もともとこのblogを始めた目的というのは、個人的に好きな音楽や本のことを書き残しておこう、というものでした。blogのサブタイトルも「本と音楽に関する個人的備忘録」となっています。最近すっかり内容が偏ってしまっています・・・・。偏らざるを得ない、今の日本の状況は、かなり私にとって気に入らないものであります。音楽だと小説だのの話に夢中になるなんて、そんな平和ボケでいいのか、とかつい考えてしまうくらいです。

これって、相当危険な兆候だと思うのですよ。つまり、働いて、報酬を得て、それで好きなものを買う、という生活自体が脅かされている、ってことですよね。反対に、70年代から90年代前半の日本が、如何に平和な時代だったか、ということなのかも知れません。

最近「金で買えるアメリカ民主主義」グレッグ・パラスト (著)とか、「「非国民」のすすめ」斎藤 貴男 (著)、とか、「一本の鎖―地球の運命を握る者たち」広瀬 隆 (著)とかを立て続けに読んだんですが、つまりはそうした大きな動きが背景にあるからなんだろうなあ、と。あれ、なんか出版も音楽も、妙に窮屈な感じがしてきたぞ?、という感覚はきっと正しいのです。

20年ぶりのわいせつ裁判で書いた松文館事件や、皆さんの記憶にも新しいだろう週刊文春の販売差し止め、そして今回の著作権法改正などを同時期の社会問題と並べてみましょう。それは例えば、イラクへの自衛隊派遣だったり、住基ネット問題、東京都立学校における国旗掲揚と君が代斉唱時不起立教員処分、青少年保護条例の相次ぐ強化、そして軍備拡張をにらんだ憲法改正論議などだったりします。「「非国民」のすすめ」を読むと、国のために命を捨てられる人間を育てようとしているらしき文部科学省OBの発言なんてものが存在したことなどが分かりますしね。

ついでに「アカシックファイル―日本の「謎」を解く! 」明石 散人 (著) あたりを併読すると面白いと思いますよ。真実の吟味ってどうやればいいんだろう、という点について、さまざまな示唆が得られますから。「アカシック・ファイル」の中で、

もうこの国の庶民レベルの若者に未来はないよ
と書かれているのが、恐ろしいほどの真実味をもって迫ってきます。

さてさて、前置きがすっかり長くなりましたが、今日書こうと思ったのは、中学生~高校生くらいの若者のことなんです。

私は本日、最近買ったLPを聴きながらCDの整理をしてました。プラケースをソフトケースに移行、という作業の続き。最近しばらくやってなかったんですが、LP置き場がなくなってきたので、LP棚にあったCDボックスセットを取り出して、そのCDボックスの置き場を作るためにプラケースからソフトケースへの移植を進めた、という次第。

10年以上前に買ったCDを見ながら、それを買った頃のことを思い出したりしていました。よくもまあこんなにいろいろ買ったよな、というものが出てくるんですが、それって私が社会人成りたての頃のものです。でそういうものを買うに至る前の10年というのは、限られた小遣いで中古レコードをせっせと買い集める日々だったわけです。

あー、でも中学の時って、とにかく洋楽聴いてる人間って少数派だったよなあ、と思い出したりします。TVの歌番組と歌謡曲、というのが主流派で、一部に日本のロック(矢沢永吉とか)ファンがいて、一部にビートルズファンはそれなりにいて、っていう感じ。高校になると洋楽ファン自体は結構いたけど、持ってるレコードがだぶるような友達はやっぱり数人だったし。大学になると圧倒的にいろんな人間がいたんですけど、話を聞いてみると、みんな地元の中学・高校時代には趣味の友達が周辺にはいなかった、って言ってますね。

今回の海外CD輸入規制問題に関しても、例えば次のような指摘がありますよね。
 ・別に普段CD買ったり音楽聴いたりしてない人間も多いし、
 ・輸入盤なんて今まで買ったことない人だって多いだろうし、
 ・そもそもCCCDだって気にせず買ってる人はいるわけだし、
という指摘。
これは真実だろう、と私は思っています。
けれども、だからと言って、「困るヤツは少数派なんだから」などという理由で法改正を許してはいけないよな、と強く思うのです。

なぜならば、環境の変化に対してもっとも抵抗力をもっていない弱者は若者だからです。
「いざとなれば個人輸入だ!」なんて言えるのはオトナです。自分で収入を得ているオトナです。
日本語解説がついていなくても、外国語のライナーがあれば足りる、というのは外国語の勉強までした一部のオトナだけです。
こうした社会環境に対する抵抗力が弱く、与えられた環境を受け入れざるを得ないのは、基本的に若者です。
社会環境が次の世代を作るんです。

70年代、80年代に、日本では驚くほどの洋楽レコードが紹介され、発売されました。多くの間違いを含みながらも、歌詞を掲載し、解説を付けて発売されてきました。中古LPをいろいろ漁っていると痛感しますが、売り手側もさまざまな工夫をして、海外の文化を紹介してきたのです。だからこそ、私みたいなレコードバカが育っちゃったわけで・・・・。

もしも今回の海外CD輸入規制が通ってしまったら・・・・、短期的には目に見える違いは出ないかも知れません。
文句を言うのは、オトナの中の少数派かも知れません。
けれど本当の違いは10年、20年後に現れるでしょう。
多様性が減少した社会は、画一化を進めやすい社会でもあります。
同時に個人情報保護をお題目に掲げたメディア規制や、教育カリキュラムの改訂を複合的に処方すれば、20年以内には、完全軍国主義国に出来ちゃうくらいの差が生まれているでしょう。

世界中のさまざまな音楽に対してどん欲にアンテナ張ってると、どうしたってリベラルになっちゃいますから、政府はそういう人間、キライなんでしょうねぇ(笑)。

手持ちのレコードを生きている間にもう一回全部聴く、というのがかなり困難なくらいの量を所有している私なんて、実は輸入規制かかってもひどくは困らないのです。諦められます。ストックは十分ありますし、残りの人生、中古LP漁って過ごすことも出来ます。
でも、これから広大な音楽世界を探索していく若者は違うでしょう。出会いの可能性は大きいに超したことはないはず。
今回の輸入規制に反対している中学生とか、反対している父兄、という方がどのくらいいるのか全く不明ですが、子供の将来を考えるだけでも、この法案には反対する価値があると思います。
もちろん、ご自身が軍国主義者で、自分の息子を早く戦場に送り出したくてしょうがない、という方は別なのですが。

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Comments

私自身も数千枚のCDとLPを持っていて、
それを聴いていればいいのかもしれませんが、
でも新しいものを知りたい聴きたい見たい、という
好奇心を抑えることはできません。

国、あるいは大きな組織と言い換えてもいいですけど、は
自分たちが与える情報で満足するように、
そこに属する人間を教育してきたが、
近年インターネットが発達して簡単にそれ以外の情報も
収集することができるようになったことに、
大変な危惧を抱いていているのだと思います。

何かとりとめがなくなってますが、
要は「好奇心の芽を摘み取るな」と言いたいです。
以前から多様化(見せ掛けだけの多様化は多いですが)を減少させ、
人々の好奇心をくだらないもので満たそうとしてきた所業が、
ここにきて暴かれそうなので、彼らも焦っているような気がします。

Posted by: isshee | 2004.05.10 at 11:36 PM

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Tracked on 2004.05.23 at 05:24 PM

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