ムーンライダーズの非売品ライブ音源 レコミュニにて配信開始
ときどきこのblogでも取り上げてきた、音楽配信SNSレコミュニにて、小さな事件が発生している。非売品CDに収められていた、ムーンライダーズのライブ音源が1曲、5月26日に配信になったのである。
そのささやかなニュースはちょろちょろとネットの中を流れ、他のSNS内ファンコミュニティでも話題になった。レコミュニに参加していながらも休眠状態だったユーザーもダウンロードに駆けつけているようで、配信開始日から一気にランキングトップに躍り出、現在もダウンロード数を伸ばしつつある。
配信になった曲は鈴木慶一のソロで「国民の煙草新生」。1989年10月20日、浅草常磐座での演奏による7分56秒のトラック。150円。
CDというメディアで発表されたものであっても非売品、かつ他の盤に収録されたこともないというレアトラックが、こうして入手可能な状態になったのは、ファンにとっては正に夢のような出来事だろう。ムーンライダーズのファンにとってはもちろん嬉しい事件だろうが、全ての音楽ファンにとって祝福すべき快挙であろう。
レコミュニというところは、他の音楽ダウンロード販売サイトと全く異なり、例えばレコード会社の都合で曲が配信されるようなことはほとんどない。中心となっているのは「ある曲が好きな会員が、自分の好きな曲についてレコメンド(推薦)する」という行為だ。会員の誰かがそうして推薦文を書いてデータ登録を行うと、レコミュニが会員の代わりに権利者に連絡を取って、サイトで配信出来るように契約を進めてくれるのである。
そんな仕組みを持つコミュニティだけに、ランキングの顔ぶれは極めて個性的になる。先週ムーンライダーズに1位の座を明け渡したのはこなかりゆの「Space Is A Big ○」。これはこなか自身のレーベルから自主制作でリリースされているCD-R+DVD-Rによるライブ音源である。
こなかりゆと日替わりのトップ争いをしていたのが宅録女性シンガーソングライターのito masamiの新曲。
またムーンライダーズがランキングを駆け上がるのと一緒にランクを伸ばしているのが、小川美潮の未発表音源「You Need Me」の別テイクバージョンだ。この曲はレコミュニオープン直後から配信されているのだが、定期的にランキングに顔を出すロングセラーになっている。
また2週間くらい前には、去る5月13日に16年ぶりのライブを行った、川喜多美子率いるD-DAYが4曲をチャートインさせていたりもした。
ムーンライダーズ、こなかりゆ、ito masami、小川美潮、D-DAYと、いわゆるJ-POPのヒットチャートではまずお目に掛かれないラインナップだ。他にもここ半年くらいの間に、クレージー・キャッツ、斉藤美和子、Phew、くじらなどが登場するなど実にバラエティに富んでいる。
まだまだ大手メジャー系の楽曲は配信が進まない悩みがレコミュニにはある。しかし、一向にSONYが参入しないiTMSはじめ、DRM、価格、使い勝手に不満の残る他の配信サイトとはまったく異なる方向性に進んでいるのは確かだ。「自分がこれからも大切にしたいと思う、すてきな音楽にどれだけ出会えたか」を判断基準にするなら、レコミュニは現在のところ私にとってのNo.1である。
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