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2008.01.15

素晴らしき自己認識:権利者団体 私的録音補償金問題と地球温暖化を対比してみせる

「iPod課金」は「文化を守るため」――権利者団体が「Culture First」発表(IT Media)

いや、素晴らしい。権利者団体の方々は、私的録音録画補償金の危機を地球温暖化問題になぞらえて語っていらっしゃる。つまり「文化の危機」とは政治的プロパガンダであり、地球温暖化問題というレッテルと同じく、「大衆を脅かすための嘘八百」であると自ら暴露してくれているらしい。

最近権利者団体は、我々消費者に対して脅迫的であると感じられることが増えた。「補償金がなくなれば30条を廃止して一切コピーが出来なくなります」などとも言う。不思議なくらい、環境問題における地球温暖化論者と物言いがよく似ている。

試みに、暴走する「地球温暖化」論―洗脳・煽動・歪曲の数々 武田 邦彦 (著), 池田 清彦 (著), 渡辺 正 (著), 薬師院 仁志 (著), 山形 浩生 (著), 伊藤 公紀 (著), 岩瀬 正則 (著) や環境問題はなぜウソがまかり通るのか 武田 邦彦 (著) といった、現在の地球温暖化議論における胡散臭さを指摘する本を読んでみるといい。地球温暖化論者の物言いと補償金に関する権利者団体の物言いは、不思議なくらい同じようなスタイルであることに気がつく。

この問題を、責任ある人間なら、つぎのように考えるべきではないか。大事なのは、地球温暖化は本当なのかという、科学的真理の問題ではない。・・・これは生き方、態度の問題だ。・・・・・・ゴア元副大統領は、地球環境問題じは「モラルの問題」だと言った。その通りであると言いたい。(「暴走する「地球温暖化」論」より P79 引用部は諸君!2007年7月号掲載の橋爪大三郎氏のコメント)

「人為的な産業活動が地球を異常に温暖化させる」という仮説は本当なのか?、という、ごく当たり前の素朴な疑問に対する返答の、典型的なスタイルが上に引用したような物言いだ。本当なの?、証拠はあるの?、どの程度信頼性のある話なの?、といった疑問をぶつけると、「真偽の問題じゃない、モラルの問題なのだ」と答えるのだ。

補償金問題においても、「本当に私的録音は権利者に損害を与えているのか?」「どの程度与えているのか?」「本当に補償する必要があるのか?」といったそもそもな疑問に対して、権利者サイドは一度も答えたことがないのを思い出して欲しい。

そしてどうするかといえば、今回のCulture Firstみたいな標語(すなわちプロバガンダである)を掲げて、決して事の真偽が焦点にならぬよう、大衆の感情に訴えかける作戦を採るわけだ。

他にも、「文化が経済至上主義の犠牲になっている」と語り、「経済性にとらわれない文化の重要性をアピール」しながら「補償金の「適正な見直し」で、文化の担い手に対する経済的な見返りを要求」という矛盾した論旨を見ていると、もういよいよなりふり構わず「カネ寄越せ!!!」と言いつのっているようでイヤになる。文化を経済至上主義から救いたいなら、例えば全ての著作権者がネット経由で消費者から直接対価を得られるような仕組みを作ったっていいだろう。または、全ての文化事業は国家予算のみで行うものとし、全国民には無償で享受させるという考え方もあるだろう。「文化を経済至上主義から救え!」と大上段に振りかざした刀が、どうして補償金対象を増やせ!などという矮小な要求に行き着くのか。どう見たって怪しさいっぱいではないか。

著作権の問題と温暖化問題にはもう一つ共通点がある。

それは、我々大衆は専門家になる必要はない、ということである。我々は単に、おかしいと感じたら素直に疑問を発すればよいのだ。我々が納得できる説明を行う責任は相手にある。権利者団体が著作権強化を行いたいなら、なぜそうする事が必要で正しいことなのかをきちんと説明する責任があるはずだ。

「最近、割と暖かい日が増えた気がするでしょ? やっぱり地球が温暖化してるんですよ」というセリフと「iPodやパソコンは増えてるし、最近CDもヒットがないでしょ? やっぱり私的録音のせいでクリエイターが損してるんですよ」というセリフは、具体的根拠に乏しく、それでいて人々を一定の価値観に落とし込もうという意図がある点でとてもよく似ている。こうしたデマゴーグに騙されてはいけない。

追記

その他記事

権利者団体が「Culture First」宣言、文化保護で補償金の拡大求める(Internet Watch)

著作権団体、統一標語「Culture First」で補償金制度維持の結束図る(IT Pro)

また環境問題、および補償金問題やダウンロード違法化問題を含む著作権改正を巡る議論については、私の立場もよく似ている。

目指すものは正しい。地球環境を良くすること、文化の振興を目指すこと。

しかしやろうとしていることが間違っている。スーパーのレジ袋有料化やリサイクル狂想曲は目的に反している。同様に、損失を明らかにせず無闇に補償金を増やそうとすること、DRMでコンテンツの流通を阻害しようとすること、ダウンロード違法化で多大な副作用を生み出すこと、すべてコンテンツ生産と流通を縮小させる方向に働くだろう。


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