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April 2008の2件の記事

2008.04.29

ガソリンの値段はいつから変わるのか?

税制法案30日再可決 みなし否決後、56年ぶり(東京新聞)といった内容の記事が複数出ており、ガソリンスタンドは駆け込み需要が続きそうだ。しかし、ちょっと下記を読んでみて欲しい。要は、仮に4月30日に衆議院で再可決されたとして、その法律が実効性を発揮するのはいつからなのか?、という点に大きな問題がある、ということだ。

非常な即日公布・施行
!(白川勝彦 永田町徒然草)


道路特定財源の暫定税率を今後さらに10年間にわたり課すことを内容とする租税特別措置法改正案が4月30日に再可決されたとしよう。ところが永田町徒然草No.762「これは、“夢か現か幻か”(その1)」で説明したように、この法律には施行期日が4月1日からとなっているのである。だが4月1日はとうに過ぎている。こうした場合、この法律は公布された日から施行されると事務当局=官僚たちは主張している。しかし、そんなものは行政的解釈でしかない

裁判所の解釈であろうが、行政的解釈であろうが、学者の解釈であろうが、“解釈”は解釈でしかない。いろいろな解釈があり得る。それを避けるためには、「この法律は公布の日から施行する」とハッキリと法律に書いておけば良いのだ。「公布の日」についてはそんなにいろいろな解釈がある訳ではない。法律家の通説は、「法律が官報に掲載され、その官報が政府刊行物サービス・センターで販売に供された時が公布だ」とする。

だから独立行政法人国立印刷局(かつての大蔵省印刷局)が成立した法律を受け取り、これを版組みし、印刷して全国に配送し、それが販売所に届き、販売に供されるためには、最低限の時間はどうしてもかかるのである。かつては搬送にもっと時間がかかった。いくら宅配便が早くなったとしても全国的に同じ日いう訳にもいかないだろう。そこで霞ヶ関にある政府刊行物サービス・センターで販売に供された時ということにしているのである。これも解釈である。

しかし、その前にもどうしても必要な手続きがある。「憲法改正、法律、政令および条約を公布すること」は天皇の国事行為である(憲法7条1号)。法律の公布は天皇の国事行為であるから、「内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負う」(憲法3条)。「天皇が公布を行う」ためには内閣の助言と承認を必要とする。その助言と承認を行うのが閣議である。全大臣が法律の原本に署名する。その原本に天皇から御名御璽を戴く。御名とは天皇の直筆の署名であり、御璽とは国璽(天皇の印璽)のことである。

租税特別措置法改正案が再可決によって法律になったとしても、以上のような手続きを踏んで法律は公布される。さらに上記の官報掲載という手続きが必要なのである。マスコミでは4月30日再可決され、ガソリンや軽油は5月1日から値上げになると報道しているが、こういうことを知っているのだろうか。知っている人もいるのだろうが、4月30日再可決された場合には、非常的な作業を行わなければ5月1日から暫定税率を課すことは非常な手続きを踏まなければならない。そんな非常事態のようなことをしなければならない案件なのだろうか。


この記事を紹介しているこちらもどうぞ。

暫定税率、与党「自滅の再議決」へつき進む (保坂展人のどこどこ日記)

なるほど、「4月1日施行」という法律を4月30日に「3分の2再議決」するというのは、おかしな話だ。4月 1日施行という法律が成立するのが約1カ月後というのは、法の不遡及の原則から見ても、本来は「5月1日」に修正した法律を成立させるべきだろう。しかし、そもそも再議決時には衆議院だけで修正することが出来ない。政府・与党としては目をつぶることにするということなのだろうか。

この点とさらに、即日公布・施行というのもムチャクチャな話だと、議院運営委員会で仙谷議員が主張したが、与党側は無反応だった。おそらく、与党にとっては「それどころじゃない」という状況だろうか。補欠選挙が平岡さんの輝かしい勝利に終わり、大義なき「再議決」への突入で内閣支持率は2割を切る。森内閣の記録をこれからは追う展開となり、民意に背反した旅路に赴こうとしているのである。

そうなのだ。国会で決まったとして、法律の発布もなしに実効性を持つなんてありえないはずなのだ。
この一点だけを取り上げても、既に条文自体がおかしな状態になってしまっている法案をそのまま可決するなんてムチャクチャは止めるべきだと言えるだろう。

今回の再可決は、憲法違反。(白川勝彦 永田町徒然草)
4月30日は、本当に61日目!?(白川勝彦 永田町徒然草)

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2008.04.13

「靖国」/有害情報規制/立川ビラ事件/三浦被告共謀罪告訴

これらの出来事に関連性を感じてしまうのは私だけだろうか。

よって、ネットユーザーにとって直近の大問題は、「子供を守る」という大義名分の元に、警察による恣意的運用&一般市民犯罪者化を可能としてしまう、児童ポルノ単純所持規制だろう。これは劇薬である。メールやネット経由で簡単に送りつけることが出来る情報が、麻薬や拳銃と同じ扱いにされたらどうなるか想像してみてほしい。 

携帯電話のフィルタリング問題は、実効性には乏しいと思われる上に総務省・警察の天下り団体を増強するという働きも持っている。

イラク派兵反対のビラをポスティングしただけで75日間拘留などという非常識的な扱いを受けた上に有罪。ありえない。仮に住人に迷惑をかけた面があると仮定しても、長期拘留はまったく不当ではないだろうか。

ところで、なぜ今頃三浦和義氏が逮捕? しかも共謀罪?
これは「日本でも共謀罪が必要なのだ」という世論を生み出すために、アメリカ主導で仕組まれた動きなのではないかとも思う。

全部合わせて考えてみてください。
同時に、

  • アメリカ発の不況はこれから本格化し、日本の戦後体制はこれから変化を余儀なくされること
  • 日本の借金は増え続ける一方であり、その内IMF管理下に置かれる可能性が高いこと
  • 三角合併が解禁されており、外資による日本企業買収が容易にされていること
  • 郵政民営化の結果、郵貯にある資金は、おそらくアメリカ国債へ流れるだろうこと
などを思い出して下さい。

インターネット上の言論をまず封じ、のちに出版・マスコミに移るだろうことは想像に難くありません。

「青少年有害情報」規制&児童ポルノ団純所持規制
日本のインターネット産業に大きな節目?--自民と民主が重要法案を準備 (CNET)

【資料】青少年有害社会環境対策基本法案 - 「ネット制圧三法」と闘うために (The Casuarina Tree)

青少年社会環境対策基本法は青少年を救わずメディアを殺す
 (CNET)
「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」2007/5/1 阿佐ヶ谷ロフト (マンガ論争勃発のサイト)

「なくそう! 子どもポルノ」キャンペーン(日本ユニセフ協会)

児童ポルノの単純所持規制、アニメ・漫画・ゲームへの規制対象拡大への反対(無名の一知財政策ウォッチャーの独言)
「児童ポルノ法改正」に潜む危険(IT Media)

児童ポルノの「だましリンク」で逮捕、FBIが新手のおとり捜査を実施


(財)日本ユニセフ協会インタビュー【第1回】外国からも「声」が届いている
|マンガ論争勃発のサイト

児童ポルノ:「単純所持」処罰対象に…公明PT法改正方針
- 毎日jp(毎日新聞)
児童買春・ポルノ:禁止法改正で自民・民主の議論本格化(毎日)
児童ポルノ:アニメやCGなどへの規制見送り…自民(毎日)
児童買春・ポルノ:禁止法改正で自民・民主の議論本格化弁護士山口貴士大いに語る


靖国上映中止
クローズアップ2008:映画「靖国」上映中止 揺れる表現の自由(毎日)
ほんとはあった稲田議員「靖国」公開前の試写要求(JanJan)
“政治介入”疑問の声も 自民議員が『靖国』出演者に接触(東京新聞)
リ・イン監督、田原総一朗らが抗議「靖国 YASUKUNI」緊急記者会見

立川ビラ配り事件
立川反戦ビラ配布事件(Wikipedia)

なぜビラ配りが犯罪になるのか!「守れ言論、活かそう憲法!」参加報告(JanJan)
『司法に失望した』 反戦ビラ配布有罪 市民団体3人、拘置75日(東京新聞)

ビラ配り有罪確定へ 被告ら「民主主義の危機」(朝日)

2008年04月11日19時50分


 ビラを配っただけで「有罪」となった市民団体のメンバー3人は、最高裁の結論に憤った。75日間も勾留(こうりゅう)されたうえ、4年にわたった裁判の結末に「民主主義の危機だ」と訴えた。


 判決要旨の法廷での読み上げはわずか2分だった。閉廷後に会見した「立川自衛隊監視テント村」の大洞俊之被告(50)は「こんなことのために聞きに来た
のか」と憤った。高田幸美被告(34)は「今まで当たり前だったビラ配りがある日突然、犯罪になる。そのことにゴーサインを出した。司法には失望した」。
大西章寛被告(34)は「警察や政府が政治的意見を封じるために判決を利用することを恐れる」と語った。


 3人は今も、ビラの配布を続ける。集合住宅や一軒家で年に4、5回。多いときは1回で約2万枚を配る。「再逮捕されては元も子もない」ので、自衛隊官舎には近づかない。管理人のいるマンションの場合は、許可を受けるようにしているが、これまで断られたことはない。

 「テント村」は昨年、事件の舞台となった官舎に70通のアンケートを郵送した。返信は2通。いずれもビラ配りについて「犯罪だと思わな
い」。自衛官から、活動を支援したいとカンパもあった。「主義主張には全く賛同できないが、これは言論弾圧だ。放置すれば我々も対象になる」と右翼団体か
らも激励のメールが届いた。

 「憲法で表現の自由が保障されていても、行使する手段が制限されれば何の意味もない」と大洞被告は言う。右翼団体の抗議などを警戒して
ホテルが日教組の大会会場の予約をキャンセルしたり、映画「靖国」の上映を自主的に取りやめる動きが広がったり。「ビラ配りと根っこは同じだ」と感じてい
るという。(須藤龍也)



三浦和義共謀罪告訴
治安に国民意識の差?ロス疑惑で注目の「共謀罪」 日本は反対多く(産経)
三浦容疑者に有利?類似事件で被告勝利(スポニチ)

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