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June 2008の14件の記事

2008.06.28

Julia Marcell:売切れのEP「Storm」を7/2一日限り無料ダウンロード

Sellabandからのフルアルバムを出したばかりのポーランドの女性シンガーソングライターJulia Marcellですが、来る7/2は彼女がSellabandに登録してからの1周年となります。これを記念して、すでに売切れとなっている自主制作EP「Storm」のMP3を一日限りフリーダウンロード開放するとのことです。

Sellabandで$50000を達成するにあたって、Juliaがその時自作として紹介したのはこのEPからの3曲だけでした。3曲の魅力で$50000集めてしまったわけで、やはり飛び抜けた個性を発揮していたということですね。



http://www.juliamarcell.com/en/

Jun 23 2008 - One year on Sellaband, get free "Storm EP" download.

On July 2nd I'll be exactly ONE YEAR ON SELLABAND! I'm preparing
something special for you especially for that occasion: for the whole
day of July 2nd my long-time-ago-sold-out EP "Storm" will be available for free download as mp3s. But only for one day!



For those who have "Storm" already or just simply like surprises, I'm preparing something else too.



Drop by on 2nd of July!

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2008.06.25

要は海外文学豊穣の時代なのか

大きめの書店に行って海外文学の棚を眺めてみると、こちらも随分興味深いものが並んでいる。前回はちょっとだけ気になったSFジャンルの本について書き留めておいたのだが、気がつけばSFのみならず、文学ジャンルでも豊穣の時代を迎えているような気がしてきた。

緑のヴェール
緑のヴェール
 ジェフリー・フォード (著)
「白い果実」「記憶の書」に続く3部作完結編。幻想的というか寓話的というか、ファンタジーのようでもあり、SFのようでもある物語。なかなか一筋縄ではいかない作者なのであります。

白い果実記憶の書
白い果実
 ジェフリー フォード (著)
記憶の書 ジェフリー・フォード (著)

歌姫コンシュエロ 上 愛と冒険の旅 (ジョルジュ・サンドセレクション 3)歌姫コンシュエロ 下 愛と冒険の旅 (ジョルジュ・サンドセレクション 4)
歌姫コンシュエロ 上 愛と冒険の旅 (ジョルジュ・サンドセレクション 3)
歌姫コンシュエロ 下 愛と冒険の旅 (ジョルジュ・サンドセレクション 4)
全9巻+別冊1で刊行されるジョルジュ・サンドセレクションもいよいよ大詰め。書簡集以外の小説8冊はこれで出揃った。これまで未訳の作品を中心に選ばれた作品が大半を占めている。本作はショパンとの交流を元に生み出された、女性声楽家を主人公とした作品で、実はサンドの最重要作だという。「愛の妖精」だけが紹介されてきたサンドの作家像を大きく変えるセレクションだと思う。

私は、第一回配本分だったセレクション2の「
スピリディオン—物欲の世界から精神性の世界へ ジョルジュ・サンドセレクション 2」をなにげなく読んでぶっとんで以来このシリーズは続けて購入している。豊かな物語性と寓話性をもつ作品が多く、実に味わい深いのである。


アブサロム、アブサロム!(世界文学全集1-9)
アブサロム、アブサロム!(世界文学全集1-9) ウィリアム・フォークナー (著)
実はしばらく前にヘンリー・ジェイムスを読んでみたら、これが思いのほか面白く、せっかくなので改めてフォークナーも読んでみようかと「Sound And Fury」とか「Absalom, Absalom!」などを原書で買ってみたのであった。特に「難解」と言われるフォークナーという作家はどういう英語を書いたのか、実際に確認してみたい、という思いが強かったのだが・・・。筒井康隆がエッセイで、「アブサロム、アブサロム!」が日本で出たときすごいすごいと夢中で読んだ、と書いていたのもずっと気になっていた。

一度は絶滅したと信じられていた世界文学全集という形の出版物が、つい最近息を吹き返しているという現象も興味深い。何かの雑誌で「読んでびっくりのトンデモ小説!」と絶賛されていたのが次に紹介する「巨匠とマルガリータ」。

巨匠とマルガリータ (世界文学全集 1-5) (世界文学全集 1-5) (世界文学全集 1-5)
巨匠とマルガリータ (世界文学全集 1-5) ミハイル・A・ブルガーコフ (著)

SF、ミステリ、コミック、演劇、さまざまなジャンルの魅力が混淆するシュールでリアルな大長編。ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」にインスピレーションを与え、20世紀最高のロシア語文学と評される究極の奇想小説
いや、まずもって私は「奇想小説」と言われただけで手が伸びてしまう方だし、実はずっと昔から翻訳が存在していたこの小説を知らなかったというのも負い目になり、これは読まねば!、とちょっと張り切っているわけで・・・。

活字離れ、ケータイ小説などの潮流とは別に、「読んで飽きない、面白さ保証付き」の古典作品が改めて脚光を浴びているようにも思う。「カラマーゾフの兄弟」がせっかくヒットしたのだから、面白い小説がブームになってもいいではないか。本というのは一見高いように思えても、時間あたり単価は極めて安い娯楽でもある。間もなく来るだろう大不況時代に向けて、熱中できる作品を見つけておくのは悪い考えではないだろう。

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2008.06.24

インドネシアのバンド:The Coffee

Sellaband経由で知ったバンド、The Coffeeのビデオクリップ。とてもキュートで、音のセンスもいいと思う。もっと他の曲も聴きたいなあ・・・・。


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なぜか海外SF豊穣のこの頃

理由はよく分からないが、ここ数年海外SFの翻訳書が大豊作状態だ。それも未訳の名作、絶版の名作が目白押し。

最近のものだけちょっとピックアップしてみても・・・・

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 6-5 新しい太陽の書 1)調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫 SF—新しい太陽の書 (1664))
拷問
者の影(新装版 新しい太陽の書1)
調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2)  ジーン・ウルフ (著)

ファンタジーという羊の皮を被った恐るべき4部作。凄い密度、凄いアイディア。


ハローサマー、グッドバイ

ハローサマー、グッドバイ マイクル・コーニイ (著)

サンリオSF文庫で出ていた名作、ようやくの復刊!


氷

アンナ・カヴァン (著)

極北のSFと言われる1作。こちらもサンリオSF文庫で出ていたもの。改訳版。


蒸気駆動の少年 [奇想コレクション] (奇想コレクション)

蒸気駆動の少年  ジョン・スラデック (著)

あまりにもマッドで、もうSFなんだかどうだか分からないくらいの特殊な天才による作品集。
当然最高なんである。

スタージョン、スラデック、ラファティなど、個人的にお気に入りの作家の本が、本当にここ数年増えてきた。こんな豊穣時代がいつまで続くか分からないから、あるうちに買っておきましょう(笑)。

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2008.06.22

日経トレンディがSellabandを紹介

私も昨年知った、ファン資金によるCD作成プロジェクトサイトSellabandがトレンディで取り上げられていました。

音楽ファンドでアーティストを直接支援するSellaBandなど“ポストレコード会社”が続々と誕生!(日経トレンディネット)

ちょっと面白いと思ったのは、恐ろしく完成度の高い見事なアルバムを出したばかりのJulia Marcellを「SellaBandからCDデビューした最も有名なアーティスト」と呼んでいる点でしょうか。こなかりゆさんについても言及されています。

過去の記事
2007.07.06
リスナー自身がレコード会社?:Sell A Bandに見る音楽ビジネスの未来
2007.10.05
Julia Marcell:ファイナル・カウントダウン!!
2007.10.24
こなかりゆ Sellabandに参入
2007.10.12
捨てられ始めるレコード会社
2007.10.31
こなかりゆ:Sellaband登録1週目にして注目を集める
2008.05.15
Julia Marcell : ニューアルバム「it might like you」リリース

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2008.06.21

新譜他 発売メモ:あぶらだこ 益田宏美

仕事にかまけてたら、リリース予定も何も全然キャッチしてなかった・・・。

あぶらだこ ニューアルバム

4年ぶりの新譜。あぶらだこ




今回もレコ発ライブはあるみたいです。
オフィシャルサイト


岩崎宏美 「誕生」「家族」「きょうだい」BOX
おお〜、ついにこの3部作も再発とは! 益田宏美時代のアルバムで、クラシック曲や子供向けの曲が中心。この時代のシングル「愛を+ワン」は私にとっての岩崎宏美オールタイムベストテンに入る名曲。


Bill Nelson新譜
http://www.billnelson.com/html/store/index.php
まあ何しろ年に数枚はアルバム作ってしまうひとなので(笑)。
ちょっと目を離すと数枚は出ているという・・・。

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2008.06.14

祝! TASPO崩壊!

実はこれ、法律には抵触しない???:タスポ付き自販機というエントリは、写真のおもしろさもあってか随分見ていただけた方が多かったようで驚いた。そのエントリのコメントでも情報をいただいたが、実際のところ法律上どうなっているのかはまだ調べていない。ただ警察の指導で取りやめた、ということは、やはり法律上はなんの問題もなかったということだろうと想像される。実際どうなのだろう?

・・・と悩む必要ももうすぐなくなりそうだ。

<たばこ店>タスポ貸すからブザーで呼んで 法的には問題なし(Yahooニュース〜毎日新聞)


<たばこ店>タスポ貸すからブザーで呼んで 法的には問題なし
店主のタスポを貸し出すため呼び出しブザーが取り付けられた自動販売機=2008年6月5日、遠藤雅彦撮影
 佐賀県上峰町のたばこ小売店が5日から、店前の自動販売機に取り付けたブザーで店主(58)を呼び出し、店主名義の成人識別ICカード「タスポ」で購入できるようにした。タスポ導入で売り上げ激減の店が多い中での苦肉の策。カードを発行する日本たばこ協会は「成人であることを確認すれば対面販売と同じ」と話しており、この販売方法に違法性はないという。

そりゃそうである。在庫を手元に持っていようが、販売機の中に仕舞っておこうがそれは自由だろう。ただ店主が在宅していなければならないという制約があるから、自動販売機といっても店側は全然楽にならないという妙な状態ではある。

免許証方式 普及は『?』 たばこ自販機の成人識別装置
(東京新聞)

予想通り、というか、普及するわけもないTASPOの状況を睨み、財務相は免許証による識別装置も認めることにした、というニュースが。しかしこれも、実際はTASPO開始前から出来ていた装置である。

「タスポがないと買えない」という宣伝のウソ
(Safety JAPAN)

やはりどう考えても、TASPO推進は利権絡みだったとしか思えない。もしくは、喫煙者を個人レベルで管理するつもりのものだったのだろう。

それにちょっと冷静に考えてみれば、ここまでやって得られる成果は、未成年の喫煙防止、だけである。未成年がタバコを吸わなくなったとして、何がどう変わるのだろうか? 景気が良くなるのか? 社会が良くなるのか? 犯罪が減るのか? そもそもが、これほど大騒ぎして個人管理カードを導入し、小売店に軒並み新型自動販売機を買わせる必要がどこにあるのか?

・・・ということでももう悩まずに済みそうだ。
うっかりTASPOを作ってしまった方は、さっさと廃棄してしまおう。対人販売と免許証認証でほとんどこと足りるに違いない。そうやって、TASPO利権を狙っていた人々には、しっかりと損をさせてあげようではありませんか。

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2008.06.12

秋葉原無差別殺人を生み出したもの

週末の秋葉原歩行者天国を襲った無差別殺人事件は衝撃的だった。これからしばらくはさまざまな余波を生みそうな事件であり、使用されたナイフの規制に関する報道も目立つ。その一方、実行犯を生み出した環境についてはまだ多くは語られていないように思う。

マガジン9条に連載されている、雨宮処凛がゆく!というコラムの第57回にて、秋葉原の無差別殺人事件を取り上げている。同氏の著作「生きさせろ! 難民化する若者たち」の他、「雇用融解—これが新しい「日本型雇用」なのか」風間 直樹 (著) 、「労働ダンピング—雇用の多様化の果てに」中野 麻美 (著) といった書籍を見てみれば、派遣労働者として工場に勤務するという生活の過酷さをイメージできるかも知れない。

だとするならば、私たちは悠にあと100万人ほどは、自暴自棄になっても一概には責められないような過酷な生活を送る人々を生み出していることになる。このツケは誰が払うのか。利益を上げた企業か。安い製品を喜んで買った消費者か。このような労働市場を生み出した政治家か。その政治家に投票した有権者か。

異常犯罪・猟奇事件というのは、社会から見ればガン細胞に似た突然変異にも思える。しかしガンも結局は本人の身体が生み出したものである。また病気である以上、それは他の病気と同様、宿主に対する危険信号である。「このままの生活をしているとヤバいぞ」と無理やりストップを掛けているものなのだ。そして、ガンは切り取っても直らない。生活自体、生き方自体を変えるしかないのだ。

2008.06.14 追記
秋葉原通り魔殺傷事件(その9)「加藤の乱」就職氷河期世代の叛乱→追記あり(天漢日乗)

私のエントリでは、刊行されている単行本情報から想像される事情を書いてみたのだが、上記blogでは企業広報やネット掲示板からの情報も含め、さまざまな声が記録されている。掲示板への書き込みについては信憑性100%とは思わないが、政治・日本社会・地域社会・職場などに絶望した人間が突発的にテロ行為に走ったとしても理解できる、と感じる人が多いことはどうやら確かなように私には思える。

年間3万人が自殺し続けているというのが今の日本の状況である。これが本当に社会に絶望してということだとしたら、年間3万人が国会議事堂前で焼身自殺するようになる日も遠くないのかも知れない。ただ、地方から東京にくる旅費がすでにないという可能性も高そうだ。今までは自分を責めて孤独に死んでいた人々が、無差別に隣人に当り散らし始めているのが近年の特徴だとすれば、次は一揆・革命・テロとも予想できる。

ただ・・・・何があっても人間は人間を殺してはいけない。
それが人類共通の歴史的教訓ではなかったのだろうか?
けれど、ベルトコンベア式に法務大臣が死刑執行している政府では、仮にそう言ったとしても説得力は生まれないだろうな・・・。

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2008.06.11

どさくさ紛れの「青少年有害サイト規制法」

法律13本、駆け込み成立 改正少年法など(Asahi.com)

ハンセン病問題基本法や改正少年法など政府提出、議員立法の法律計13本が11日の参院本会議で可決、成立した。首相問責決議案の提出後は国会が空
転するのを見越して、関係者から早期成立を望む声が強かった国民生活や人道目的にかかわる法案はそれに先立ち採決することで、与野党が合意していた。


 北朝鮮籍船舶の入港禁止や同国からの禁輸を、4月から10月まで半年間延長することも承認された。

 一方、政府の06年度決算は民主、共産、社民の反対多数で不承認となった。民主党は税金の無駄遣いが是正されていないと主張。93年の90年度決
算以来の参院不承認となった。不承認の場合でも予算のように衆院の議決を優越させる規定はないが、すでに支出済みの費用のため、今後の予算執行に影響はない。
図

「青少年ネット規制法」成立(IT Media)


2008年6月11日、日本国憲法下にて初めての首相問責決議の可決がニュースになっている。しかし、もしかしたらそれとはまったく別に、この日付は日本の歴史を大きく変えた日になってしまうかも知れない。問責決議採択を睨んで、極めて短時間の議論(=つまりはロクに検討していないという意味である)で多くの法案が駆け込み採決された。その中でも、青少年有害サイト規制法は極めて危険な内容を含んでおり、現在の日本社会を大きく変えてしまう可能性を秘めている。

ネットを検索していただければすぐに分かるように、この法案に賛成している民間からの意見はほとんどなく、大半は政府が表現の自由に介入する枠組みを含んでいることに反対している。

衆院通過した「青少年ネット規制法案」に新聞協会が懸念表明
(IT Media)
「参院で慎重な議論を」——ヤフー、MSなど5社「ネット規制法案」に懸念(IT Media)

この法案のどこに危険が潜んでいるのか。そうした問題分析についてはエントリを改めたいと思っているので、本日は下記に法案全文を引用しておくことにする。赤色部分は筆者による。


青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案(法案全文)
目次

 第一章 総則(第一条—第七条)

 第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等(第八条—第十二条)

 第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等(第十三条—第十六条)

第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等(第十七条—第二十三条)

 第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等

  第一節 フィルタリング推進機関(第二十四条—第二十九条)

  第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援(第三十条)

第六章 雑則(第三十一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして、青少年の権利の擁護に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「青少年」とは、十八歳に満たない者をいう。

2 この法律において「保護者」とは、親権を行う者若しくは後見人又はこれらに準ずる者をいう。

3 この法律において「青少年有害情報」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう。

4 前項の青少年有害情報を例示すると、次のとおりである。

 一 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接的かつ明示的に請け負い、仲介し、若しくは誘引し、又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報

 二 人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報

 三 殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容の情報

5 この法律において「インターネット接続役務」とは、インターネットへの接続を可能とする電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。以下同じ。)をいう。

6 この法律において「インターネット接続役務提供事業者」とは、インターネット接続役務を提供する電気通信事業者(電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)をいう。

7 この法律において「携帯電話インターネット接続役務」とは、携帯電話端末又はPHS端末からのインターネットへの接続を可能とする電気通信役務であって青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものをいう。

8 この法律において「携帯電話インターネット接続役務提供事業者」とは、携帯電話インターネット接続役務を提供する電気通信事業者をいう。

9 この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)をいう。

10
この法律において「青少年有害情報フィルタリングサービス」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するための役務又は青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによって青少年有害情報の閲覧を制限するために必要な情報を当該青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させる者に対してインターネットにより継続的に提供する役務をいう。

11
この法律において「特定サーバー管理者」とは、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバー(以下「特定サーバー」という。)を用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者をいう。

12 この法律において「発信」とは、特定サーバーに、インターネットを利用して公衆による閲覧ができるように情報を入力することをいう。

 (基本理念)

第三条 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策は、青少年自らが、主体的に情報通信機器を使い、インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに、適切にインターネットによる情報発信を行う能力(以下「インターネットを適切に活用する能力」とい
う。)を習得することを旨として行われなければならない。

2 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者による青少年が青少年有害情報の閲覧をすることを防止するための措置等により、青少年がイン
ターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくすることを旨として行われなければならない。

3 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、自由な表現活動の重要性及び多様な主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨として行われなければならない。

 (国及び地方公共団体の責務)

第四条 国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、青少年が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、及び実施する責務を有する

 (関係事業者の責務)

第五条 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、その事業の特性に応じ、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくするための措置を講ずるとともに、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。

 (保護者の責務)

第六条 保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進努めるものとする。

2 保護者は、携帯電話端末及びPHS端末からのインターネットの利用が不適切に行われた場合には、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意するものとする。

 (連携協力体制の整備)

第七条 国及び地方公共団体は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策を講ずるに当たり、関係機関、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者及び関係する活動を行う民間団体相互間の連携協力体制の整備努めるものとする。

   第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等

(設置及び所掌事務)

第八条 内閣府に、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議(以下「会議」という。)を置く

2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 第十二条第一項の基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。

二 前号に掲げるもののほか、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項について審議すること。

(組織)

第九条 会議は、会長及び委員をもって組織する。

2 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。

3 委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣その他の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者をもって充てる。

 (資料提出の要求等)

第十条 会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (政令への委任)

第十一条 前二条に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

(基本計画)

第十二条 会議は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策についての基本的な方針

 二 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進に係る施策に関する事項

 三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及等に係る施策に関する事項

 四 青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援その他青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項

3 会議は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。

4 前項の規定は、基本計画の変更について準用する。

   第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等

(インターネットの適切な利用に関する教育の推進等)

第十三条 国及び地方公共団体は、青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとする。

2 国及び地方公共団体は、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための効果的な手法の開発及び普及を促進するため、研究の支援、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及)

第十四条 国及び地方公共団体は、家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

 (インターネットの適切な利用に関する広報啓発)

第十五条 前二条に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、青少年の健全な成長に資するため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の閲覧の制限等のインターネットの適切な利用に関する事項について、広報その他の啓発活動を行うものとする。

 (関係者の努力義務)

第十六条 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者その他の関係者は、その事業等の特性に応じ、インターネットを利用する際における青少年の
インターネットを適切に活用する能力の習得のための学習の機会の提供、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及のための活動その他の啓発活
を行うよう努めるものとする。

   第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等

 (携帯電話インターネット接続役務提供事業者の青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務)

第十七条 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、携帯電話インターネット接続役務を提供する契約の相手方又は携帯電話端末若しくはPHS端末の使用者が青少年である場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として、携帯電話インターネット接続役務を提供しなければならない。ただし、その青少年の保護者が、青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでない

2 携帯電話端末又はPHS端末をその保護する青少年に使用させるために携帯電話インターネット接続役務の提供を受ける契約を締結しようとする保護者は、当該契約の締結に当たり、携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対しその旨を申し出なければならない。

 (インターネット接続役務提供事業者の義務)

第十八条 インターネット接続役務提供事業者は、インターネット接続役務の提供を受ける者から求められたときは、青少年有害情報フィルタリングソフトウェ
ア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で
定める場合は、この限りでない。

 (インターネットと接続する機能を有する機器の製造事業者の義務)

第十九条 インターネットと接続する機能を有する機器であって青少年により使用されるもの(携帯電話端末及びPHS端末を除く。)を製造する事業者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込むことその他の方法により青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を容易にする措置を講じた上で、当該機器を販売しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。

 (青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者等の努力義務)

第二十条 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、青少年有害情報で
あって閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、次に掲げる事項に配慮して青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し、又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供するよう努めなければならない。

一 閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。

二 閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。

2 前項に定めるもののほか、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、その開発する青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスについて、その性能及び利便性の向上努めなければならない。

 (青少年有害情報の発信が行われた場合における特定サーバー管理者の努力義務)

第二十一条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならない。

 (青少年有害情報についての国民からの連絡の受付体制の整備)

第二十二条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して発信が行われた青少年有害情報について、国民からの連絡を受け付けるための体制を整備するよう努めなければならない。

(青少年閲覧防止措置に関する記録の作成及び保存)

第二十三条 特定サーバー管理者は、青少年閲覧防止措置をとったときは、当該青少年閲覧防止措置に関する記録を作成し、これを保存するよう努めなければならない。

   第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等

    第一節 フィルタリング推進機関

(フィルタリング推進機関の登録)

第二十四条 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及を目的として、次に掲げるいずれかの業務(以下「フィルタリング推進業務」という。)を行う者は、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができる。

一 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービスに関する調査研究並びにその普及及び啓発を行うこと。

二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの技術開発の推進を行うこと。

2 前項の登録(以下単に「登録」という。)を受けようとする者は、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、総務大臣及び経済産業大臣に申請をしなければならない。

3 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

 一 第二十六条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

 二 法人で、その役員のうちに前号に該当する者があるもの

4 総務大臣及び経済産業大臣は、第二項の申請をした者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、登録をしなければならない。

一 インターネットの利用を可能とする機能を有する機器を有し、かつ、次のいずれかに該当する者がフィルタリング推進業務を行うものであること。

イ 一年以上青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの開発又は青少年有害情報フィルタリングサービスに関する実務に従事した経験を有する者

ロ イに掲げる者と同等以上の能力を有する者

二 フィルタリング推進業務を適正に行うために次に掲げる措置がとられていること。

  イ フィルタリング推進業務を適正に行うための管理者を置くこと。

  ロ フィルタリング推進業務の管理及び適正な実施の確保に関する文書が作成されていること。

5 登録は、フィルタリング推進機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。

 一 登録年月日及び登録番号

 二 登録を受けた者(以下「フィルタリング推進機関」という。)の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 三 フィルタリング推進機関がフィルタリング推進業務を行う事務所の所在地

6 フィルタリング推進機関は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。

 (業務の休廃止)

第二十五条 フィルタリング推進機関は、フィルタリング推進業務を休止し、又は廃止したときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。

2 前項の規定によりフィルタリング推進業務を廃止した旨の届出があったときは、当該フィルタリング推進機関に係る登録は、その効力を失う。

 (登録の取消し)

第二十六条 総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進機関が次の各号のいずれかに該当するときは、登録を取り消すことができる。

 一 第二十四条第三項第二号に該当するに至ったとき。

 二 第二十四条第四項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき。

 三 第二十四条第六項又は前条第一項の規定に違反したとき。

 四 不正の手段により登録を受けたとき。

 五 次条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

 (報告又は資料の提出)

第二十七条 総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、フィルタリング推進機関に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

 (公示等)

第二十八条 総務大臣及び経済産業大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

 一 登録をしたとき。

 二 第二十四条第六項の規定による届出があったとき。

 三 第二十五条第一項の規定による届出があったとき。

 四 第二十六条の規定により登録を取り消したとき。

2 総務大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による公示をしたときは、当該公示の日付及び内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

 (総務省令及び経済産業省令への委任)

第二十九条 この節に規定するもののほか、フィルタリング推進機関及びフィルタリング推進業務に関し必要な事項は、総務省令及び経済産業省令で定める。

    第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援

第三十条 国及び地方公共団体は、次に掲げる民間団体又は事業者に対し必要な支援に努めるものとする。

 一 フィルタリング推進機関

 二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能に関する指針の作成を行う民間団体

 三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し又は提供する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者

 四 青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得するための活動を行う民間団体

 五 青少年有害情報に係る通報を受理し、特定サーバー管理者に対し措置を講ずるよう要請する活動を行う民間団体

 六 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧を制限する必要がないものに関する情報を収集し、これを青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者その他の関係者に提供する活動を行う民間団体

 七 青少年閲覧防止措置、青少年による閲覧の制限を行う情報の更新その他の青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関し講ぜられ
た措置に関する民事上の紛争について、訴訟手続によらずに解決をしようとする当事者のために公正な第三者としてその解決を図るための活動を行う民間団体

 八 その他関係する活動を行う民間団体

   第六章 雑則 

 (経過措置の命令への委任)

第三十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第四条 インターネットを利用して公衆の閲覧に供することが犯罪又は刑罰法令に触れる行為となる情報について、サーバー管理者がその情報の公衆による閲覧を防止する措置を講じた場合における当該サーバー管理者のその情報の発信者に対する損害の賠償の制限の在り方については、この法律の施行後速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (内閣府設置法の一部改正)

第五条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。 

  第四条第三項第二十六号の次に次の一号を加える。

  二十六の二 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第   号)第十二条第一項に規定する基本計画の作成及び推進に関すること。

  第四条第三項第二十七号中「青少年」を「前号に掲げるもののほか、青少年」に改める。

  第四十条第三項の表中 


食育推進会議

食育基本法

                                             」

 を

 「

インターネット青少年有

害情報対策・環境整備推

進会議

青少年が安全に安心してインターネットを利

用できる環境の整備等に関する法律

食育推進会議

食育基本法

                                    

                                                 」

 に改める。

     理 由

 インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、青少年の
インターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、フィルタリングソフトの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネッ
トを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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2008.06.08

サマータイムが(まかり間違って)実施されたら働くな(笑)

サマータイム10年にも、排出量取引も導入…首相表明へ(読売新聞)

数年置きに、思い出したように囁かれては消えるサマータイム導入。私は100%反対の立場なのだが、参考にしているのはサマータイム経験者である小林信彦氏の意見である。

小林信彦と言えばある世代にとっては怪人オヨヨ、別の世代にとっては紳士同盟などの小説を書いた人であり、また別の人にとっては映画評論家かも知れない。その作家・評論家である小林信彦は、週刊文春でコラム連載「本音を申せば」を持っているが、これまでに3回サマータイム導入反対の意見を書いてきている。現在発売中の6/12号でも再び反対意見を表明している。

前振りの後、まずは5/24朝日新聞天声人語を取り上げている。

<3年前の本社の世論調査では、導入への賛否はキレイに二分されていた。あれこれ味を想像するだけでなく、一度食べてみて判断する手はないかと思う。>
イヤミな文章である。毒入りギョーザも一度食べて判断しろというのか。サマータイム(夏時間)が毒入りであるのを、ぼくは知っている。なぜなら、かつて、四年間、体験しているのだから。
今でもサマータイム導入の話が出ると、高齢者はほぼ反対するそうだが、それは過去に経験したことがあるからだろう。いきなり生活時間帯を1時間早めようとしたら、しばらくの間は身体が慣れず、まずは不調になるのは目に見えているような気がする。
サマータイムとは、春から秋にかけて、日本中の時計の針を一時間すすめることである。仕事を一時間早く始めて、一時間早く終る。いかにもけっこうなことに聞こえる。
日本では、一九四八年(昭和二十三年)から一九五一年(昭和二十六年)まで導入されたが、一向に効果があがらず、一九五二年四月に廃止されている。高校生から大学一年にかけてのことで、眠かった、無意味だった、という記憶しかない。

(中略)

しかし、今回の導入の狙いは、別のところにあると思う。
ずばりといえば、サラリーマン(特に中小企業)の労働強化である。
五時に終わる会社が、もっと明るい内に終わります。そうなると、会社の帰りにビールを飲んだりして、楽しいですよ。お子さんとも遊べますしね。
導入論者は、だいたい、こういう甘言をもてあそぶ。昔もそうで、<明るい生活>をチラつかせたのである。

(中略)

これを自民党に求めている経団連にとっては、こんなうまい話はない。それでなくても、<残業>が問題になっている現在、システムとして労働強化、残業代不払いがやり易くなれば、これ以上のことはない。
仕事が伸びて、翌朝はフラフラで出勤するというのが、一九四八年〜五一年のサマータイムだった。今の日本は、当時より温度が上がっているので、さらにひどいことになる。
そういえば、ロシアでサマータイム廃止法案が下院に提出されたという記事を見た。心筋梗塞による死者が増えているのだ。

そもそもが、サマータイムに意味があるとすれば、緯度が高く、夏と冬の日照時間が大きく異なる地域だけだろう。Wikipediaに載っている「現在実施」「現在は廃止」「実施せず」の地図を見てみよう。高緯度の地域では実施できても、中緯度の地域では実施後に廃止されている実態が一目瞭然である。

またその頃にはなかった要素として、ビデオデッキや電子レンジは元より、夥しい数のコンピュータが社会には存在している。銀行・証券システム、交通システム、医療機器などを一斉に移行させなければならない。

仮にそうした移行コストを「一時的なもの」と切り捨てたとしても、人間が生物である以上、生体リズムの狂いだけはどうしようもあるまい。ただでさえ人口減と少子化に悩み、その上年間数万人の自殺者を生んでいる状況に対して、ダメ押しのように生活ストレスを上乗せしてどうなるというのか。

まかり間違ってサマータイムが実施されるようなことになったら、無理はせず、自分の体調に合わせて生活することを押し通すべきだろう。まず開始後2〜3週間は仕事になるまい。無理せず休もう。みんなで休もう。無理して働くと死ぬぞ!、を合言葉に。夏は暑いから、夜中になって涼しくなるまでなかなか寝付けないだろうけれど、省エネ目的ではエアコンも入れられない。寝付くためにエアコンを入れれば今度は身体に負担が掛かる。なんとか会社に行けたとしても、不調を覚えたら早退しよう。無理して働くと死ぬぞ!、を合言葉に。

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2008.06.04

実はこれ、法律には抵触しない???:タスポ付き自販機

タスポ:自販機につり下げ 福岡の業者「売上げ2割減り」(毎日新聞)
タスポの取り付けられた自販機=福岡県広川町新代で2008年6月3日午後、丸山宗一郎撮影


福岡県広川町の自営業者が、未成年者の喫煙防止策で導入されたたばこ自動販売機用成人識別ICカード「タスポ」を自販機に備え付け、自由にたばこが 買えるようにしていることが分かった。カードを発行する「日本たばこ協会」(東京)は「成人識別制度や業界の信用を失墜させる行為」として、全国初となる カード無効化も視野に入れて是正を求める方針。財務省たばこ塩事業室も「事態が続けば行政処分もありうる」と困惑している。

 業者によると、福岡県で導入された今年5月以降、売り上げが約2割減少。売り上げを増やすために同月下旬、家人名義のカードを自販機に針金で設置した。自販機には、同時に「この自販機専用タスポです。未成年の方はご使用になれません」などと書いた張り紙を付けた。

 県警八女署は先月27日、情報提供を受け「教育的観念から好ましくない」と、撤去を求めた。しかし、業者は「法律には触れてない」と拒否したという。

 日本たばこ協会によると、同様の例は先月、福島県で2件あったが、是正要請に即座に応じたという。

 この業者は、毎日新聞の取材に「たばこを買うかどうかは親の責任では。規制する法律ができない限り、カードを撤去するつもりはない」と話している。【平野美紀、丸山宗一郎】

う〜ん、思いつかなかった・・・。コロンブスの卵(笑)。
東京などはこの先行事例に倣ってみてはどうでしょうか。
そもそもタスポって相当無意味だと思いますし・・・。

タスポ:自販機に添付で関係団体など困惑/業者は「法に触れぬ」と撤去拒否/福岡・広川町

しかし、なんとすぐに撤去してしまったらしい・・・。残念。

タスポ:自販機添付の業者が撤去 福岡・広川

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2008.06.02

蟹甲癬じゃなくて蟹工船の方

短篇集「宇宙衛生博覧会」に収められた筒井康隆の短篇「蟹甲癬」を読んだことはあっても、プロレタリア文学の代表作でもある小林多喜二の「蟹工船」を読んだことはない、という方は多かったに違いないのだが、ここへ来て「蟹工船」は文庫が増刷され売れているという。

1953年に製作された映画の上映会を行えば、そちらもまずまず盛況だという。

映画「蟹工船」を見て(JanJan)

思えば、教科書に載っていたような日本文学を、自由な読み方で読めばこりゃすごい!、と楽しめるというのはこの本で紹介された読み方だった気がする。

プロレタリア文学はものすごい (平凡社新書)  荒俣 宏 (著)

ところで、「カラマーゾフの兄弟」が新訳で85万部いったというのも凄いと思う。これは確かに無茶苦茶面白い小説で、「戦争と平和」に比べれば断然読みやすいし、異様な熱気が充満している。そういう意味では異形の小説だが、そもそも有名になるほどの小説はみな異形であるとも考えられるから、まあ気にせず読んで楽しめばよいのだろう。

それにしても、21世紀の現在において「蟹工船」を読んで共感する若者が多いというのも凄い。異形の現実だ、とでもつい言いたくなるが、これが事実は小説より奇なりなのか。

半年位前に神保町で小林多喜二全集なるものを売っていて、確か4000円くらいだったので喜んで買って帰ってきた。実はその時まで全集があるのを知らなかった。外装こそ色が変わっていたが中は大変綺麗だった。こんなに安く買えるのか、とちょっと驚いた。もしかしたら多喜二人気がこれから高まり相場も変わるのだろうか。それとも「蟹工船」以外にまで手を出す人はそれほど生まれないのだろうか。

「多喜二虐殺に匹敵する事件」 蟹工船ブームでマンガも売れる (J-Cast)

蟹工船:今年20万部超す ワーキングプア問題で社会現象(毎日)

80年前のプロレタリア文学「蟹工船」再ブームの背景
(ダイヤモンド・オンライン)

すぐに読んでみたくなった方は、白樺文学館・多喜二ライブラリーへどうぞ。
マンガ化された「蟹工船」の無料ダウンロードもあります。
マンガ蟹工船 ダウンロード (PDFファイル 約40MB)


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2008.06.01

地元ブランド大いに結構:でも熱帯性果実は身体を冷やすのだよね・・・

マンゴーバブル?2個20万円 東国原知事もびっくり(Asahi.com)

 宮崎でマンゴー栽培が始まったのは85年。減反で野菜が生産過剰となり、その代替で導入された。


 生産農家8戸から始まった。最初の収穫は4年後。1キロ2千〜3500円で東京の青果店に持ち込んだが、結果は散々。店内に並ぶ外国産は数百円で、「そんなに高いマンゴーはいらない。メキシコ産で十分」とまで言われた。


 東京への売り込みは2年続けて失敗。生産者らは地元・宮崎での試食販売に切り替え、毎年街頭で呼びかけた。温度や湿度、摘花時期など品質管理も試行錯誤
を重ねた。努力は実を結び、04年まで1キロ2千円台だった完熟マンゴーの平均単価は05年に3千円を突破。去年は東国原知事の宣伝で火がつき、4900
円にまで達した。東京・日本橋の高級果物店ではいま、1500円の外国産を尻目に、太陽のタマゴが1個約1万〜2万5千円で中心に並ぶ。

国内の名産品が増えていくこと自体はうれしく思います。また、苦労しながらここまで栽培を続けてきた方々の努力にも胸が熱くなります。農業大事だから、応援したいし。

ただ・・・・・・

マンゴーは熱帯性果物なので、基本的に身体を冷やす食べ物です。食べすぎなければ問題ないですし、九州で食べる分にはまったく大丈夫そうな気がしますが・・・。


食べ物の「陰・陽」を知って冷えを防ごう!!
(東西総合医療研究所)

身体の冷えはさまざまな病気の元になる、という話は最近あちこちでされていますから目にしたこともあるのではないでしょうか? 現代人にやたら病気が多いのは、多分に食生活に原因があるとされています。

高齢者医療費をめぐってごたごたしているのも、高齢者が多いことが問題なのではなくて、病人が多いことがそもそも問題であるはずです。

乳製品や小麦粉の値上がり、輸入食品汚染問題(ギョーザを思い出す前に、そもそもアメリカ牛肉とか・・・)いろいろありますが、なんか大部分は第二次大戦後に諸外国から売り込みかけてきた食材が多いような・・・。それで病人が増えて医療費高騰とか言われても、自業自得、という気がします。それまでに食材・食品産業は相当新市場を開拓して利益を上げてきたのではないでしょうか。

製造物責任という意味では、誤った食生活を推進してきた人たちこそが、病人だらけの国を作ってしまった責任を取るべきでしょう。いや、マンゴーにはまったく罪はないのですが・・・。マンゴーには罪はないけど、化学調味料とかインスタント食品とかスナック菓子を作ってきたメーカーには責任ありそうな気がするなあ・・・。学校給食で牛乳飲ませてきた栄養士さんにも責任ありそうな気がするなあ・・・。行き着くところは厚生省なのかなあ・・・。

ところで、考えてみれば遠くから生鮮食品を運ぶのって燃料も使う訳ですし、本当は遠くへは運ばない方がエコですよね?(笑) 食料をムダに遠くへ運ばない、ってしただけで、多分CO2排出権なんて買う必要がないくらいの削減になるでしょう。所詮排出権なんて、環境問題ではなく経済政策に過ぎないのですよね。

だけどガンバレ宮崎マンゴー(笑)。美味な贅沢品で居てください。
贅沢品なら食べすぎることもないし、食べる機会を貴重なものとして楽しめますからね。

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[著作権法]燎原の火よ、燃えさかれ

池田信夫さんのblogにて、知的財産権研究会のシンポジウムにおける、会長中山信弘氏の発言が紹介されている。

中山信弘氏の情熱(池田信夫blog)
凄い。文字通り、長老による決定的かつ完全な宣言だ。

シンポジウム開催前のインタビュー記事もネット上で読むことが出来る。

著作権法に未来はあるのか(ビジネス・ロウ・ジャーナル)

上記インタビューの3ページから一部を引用しておきたい。

 著作権法はこれまで創作者やそれを伝えるメディアなどごく限られた人たちのものでしたが、いまやインターネットを通じて全ての人・企業にとって関わりの ある法律となりました。従来は、一般の方々の声は我々学者が代弁しなければいけないと思っていましたが、音楽レコードの還流防止措置に関する議論の頃から、燎原の火のごとく一般ユーザーの声が出てくるようにもなっています。私自身、それ以来、著作権法におけるユーザーである一般の方々の声は極めて重要であるという意識を持っています。一般の方々の声が、インターネットを通じてどんどん出てくるというのは面白いですね。著作権法を取り巻くプレーヤーが昔と大きく異なってきたということは、ルール自体も草野球のローカルルールからメジャーリーグのルールに変えていく必要があるということでしょう。社会の動きと合わせて、そういう目で著作権法を見るのも面白いのではないかと思います。

レコード輸入権問題はちょうど日本で個人blogが一般的になりつつあった時期と一致したこともあり、著作権法に関心を持つ層を大きく広げるきっかけとなった。これを中山先生が「燎原の火」と呼ばれていることには感慨を覚えずにはいられない。

現在著作権法を巡ってごたごたしている内容を列挙してみれば、やはり目先の対応だけではどうにもならないだろうことは明らかであろう。

・デジタル放送におけるコピーワンスもしくはダビング10問題
・iPodやHDDレコーダーへの私的録音補償金課金問題
・YouTubeやニコニコ動画を巡る著作権問題
・(今は一時的に息をひそめている)違法著作物のダウンロードを違法化する動き(いわゆる違法ダウンロード問題)
・著作物保護期間延長問題

音楽・文学・漫画・映画・美術など、世に著作物は多々存在し、私たちそれぞれが自分の愛する作品を持っていることだろう。好きな作品と作者がキライなファンはいないはずで(そりゃそうだ(笑))、要は誰だって応援したい相手は何人もいるに違いないのだ。著作権法の主旨とは、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」ものなのだから、文化が発展しなくなれば主旨に反するのである。著作者を応援するとは、最終的には経済的対価を渡してあげるということだから、そうした活動を最大限に活性化すべきなのである。

当blogのような泡沫個人blogであっても、燎原の火の一端を担うことくらいは出来るかも知れない。単なる一個人、単なる芸術作品愛好家としてではあるが、力強い中山先生の宣言に対して、己れの火を消すことはすまいとの決心を新たにした次第である。


8 1/2 愛蔵版
8 1/2 愛蔵版折角なので、すべての映画作品中でも、もっとも私が好きな作品の発売ニュースを一緒に書いておこう。これまで日本ではVHSしか出ていなかったもの。テリー・ギリアムもこの映画が一番好きとどこかで書いていたなあ。

全映画史における最高傑作「8 1/2」ついにDVD化なる!

ファン垂涎の特典も! 映画史に残るフェリーニの名作『8 1/2』がついにDVD化

フェリーニの傑作『8 1/2』がついにDVD化!! その驚くべき特典映像とは?


 「長さん。もうこれで映画はおしまいだね。もうこれ以上の映画はできない。こんな立派な映画、もう2度とできない」


 そういったのは、元宝島編集長で文筆家の植草甚一氏。文中の「長さん」とは映画評論家の淀川長治氏(ともに故人)だ。これは1965年の『8 1/2』(はっか にぶんのいち)の日本初公開時に交わされた会話である。


不朽の名作『8 1/2』25年ぶり復活 完全修復ニュープリントで7月日本公開

わ。劇場でもやるんだ! フィルムセンターで一度見ただけ。行きたい!!!

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