数ヶ月前に告知が出ているので、知っている人はとっくに知っているとは思うけれど、青池保子の漫画、「アルカサル ~ 王城」がいよいよ完結する。連載開始からは20年くらいになるようだが、ここ10数年は休載していたのだ。単行本も12巻で止まったまま。とはいえ、よくある掲載誌の都合とかそういうのではなく、おそらく作者にとって、最終部を書くのがあまりに大変だったのだ。
「アルカサル」はスペインの王、ドン・ペドロ1世の生涯の物語である。幼くして王位に就いたものの、摂政・貴族の陰謀と裏切りの渦中で辛酸をなめる。絶対王権の確立を目指し進んでいく激動の生き様を描いた超弩級の歴史物語である。
12巻までを描いた後、このあとドン・ペドロはもう落ちていくだけ・・・・という部分まで来て、作者は一旦筆を置いた。多分読者もそのことには異論は無かったろうと想像される。ただ・・・・中断が10年以上に及ぶとは私にも予想は出来なかった。エロイカが一区切りしたらまたアルカサルに戻るのだと思っていた。
昨年、ある編集者さんから「ドン・ペドロを早く成仏させてくれ」と絡まれて一念発起した(笑)、と日記にはあります。
2006年10月の日記
http://aoikeyasuko.com/phptest/index.php?date=1162304119
他にも2007年の日記などを見ていただければ、この前後200ページとなる完結編のために、アシスタントの募集、カラーインクの入手方法についてなど、通常の漫画作品とはかなり異なる制作事情をうかがい知ることができるでしょう。600年前の中世スペインのお話ですしね。もちろん少女マンガのフォーマットにあてはめつつも、こんな風に描かれた少女漫画は他にない、という破格の作品です。
休載期間が長かったので、若い読者は12巻までの物語を読んでいないかもしれませんね。この機会にぜひ手にとってみて下さい。もちろん、若い読者ならずとも未読の方は是非(笑)。
コミックのイメージアルバムも昔ありました。1986年に、キングレコードから出た物で、フルオーケストラとスペイン音楽による本格的なもの。こちらも、単なるイメージアルバムの域を超えています。これも再発して欲しいですね。

完結後編は6/16発売です。
この日、少女漫画の歴史に、大きな足跡が残されることになるでしょう。
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