映画・テレビ

2008.02.21

十数年振りにインド映画に熱中

あれは80年代末だったか、90年代初頭だったか。当時仙台に店を構えていたインド料理屋JAYMAL(現在は山形にてJAYとして営業中)にて、店のTVで流していたインド映画の踊りに衝撃を受けたのは。見たことがないようなスタイル、異質なのに魅力的な、それでいてすぐには理解不可能な、それはそれは不思議なものだったのだ。

何種類かの映像を見せてもらったが、一人の女優が飛び抜けて魅力的だった。未知の分野のものであり、よく、分からないなりに、やはり他の人とはレベルが違うと感じたのだ。それがSrideviだった。

JAYMALの方に教えていただき、当時インド映画のビデオをあつかっていた吉祥寺のお店でビデオを入手した。さすがに大抵3時間はあるという映画を見通す自身はなかったので、歌と踊り場面の抜粋ベスト版である。当時は随分と熱中し、いろいろな人に見せまくった記憶がある。

その時はそれで終わりで、それから7〜8年して「ムトゥ 踊るマハラジャ」が日本にやってくるのだった・・・。

時は流れ、インターネットでオークションが出来るようになった20世紀末、その時はSrideviという女優名で検索してもほとんど情報はみつからなかった覚えがある。

さらに7〜8年の時が流れ、つい先頃のこと、ふとしたきっかけからSrideviを検索してみた。きっかけというのは、トルコのロックアーティスト、Baris Manco(バリシュ・マンチョ)のアルバムがCD化されたのを見て、他のアルバムを探してみようと思ったことだった。結果トルコのCDを売っている店もオンラインで見つけることが出来たのだったが、ふとトルコがあるならインドもあるだろ!、と気づいたのだ。そして検索してみると、なんとまあ、ビデオの時代には敷居が高かったインド映画も、とっくにDVD化が進んでおり、随分な数の映画が手に入ることが分かってきた。DVDはいい。何しろ英語字幕が付いているものが多い。台詞が(それなりに)分かるではないか!

Srideviのオフィシャルサイトを発見したのもそういう訳でついこの間のことなのだが、2つのことに驚いた。
一つは、彼女の出演作は優に200本を越えていること!(笑)
もう一つは、80年代のトップ女優と認識していたが、その後も出演を続けていたのみならず、最近育児休業から復帰し、なんと現役と言える状態になりつつあるらしい!

フィルモグラフィーを頼りに、現在入手可能作品を掻き集めてみようとしているところである。

またこの機会にYouTubeを検索してみたところ、そこそこな数の映像が見つかった。中にはVCDまたはDVDになっていないのではと思われる古い作品もある。実はやはり、世界中にこの女神様のファンはいたらしい。

ざっと見て、踊りが素晴らしいものや表情が素晴らしいものをセレクトしてプレイリストを作ってみた。
インド映画は見たことがあっても、Srideviを見たことがない方は衝撃を受けるのではないだろうか。
またもしあなたがインド映画自体をほとんど見たことがなくとも、Srideviという不世出のダンサーにして女優の偉大さは感じられるのではないかと想像する。

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2006.01.03

戸田奈津子氏の犯罪:「キング・コング」の献辞

あけましておめでとうございます。

更新も少なく、話題も思い切り偏っている当blogですが、それでもちょこちょこ寄って下さる方がいらっしゃるのはありがたいことです。今年も(多分今までと変わり映えなく・・・)音楽、本、著作権などの話題を時々取り上げて行きたいと思います。

さて、私は新作映画を熱心に見に行くタイプの映画ファンではなく、どちらかというと興味の赴くままに旧作を好き勝手なタイミングで見る方です。それでも時にはせっかくだから大画面で見ておくか・・・、と映画館に行きます。最近レイトショーで2/3の値段、という技を覚えて活用しております。

「キング・コング」観てきました。やはりピーター・ジャクソンはキチガイでした。何度観たって分かるわけない細部の細部の細部まで偏執的にこだわって作り上げています。途轍もない映画です。ただし、全ての人がこの情熱に共感することはないでしょう。私も共感出来ませんでした。でもいいんです。これは途方もない愛情と労力を注ぎ込んだ1作であり、気に入った人が何度も何度も観て楽しめば。

ところで、映画のタイトルロールの最後に献辞があります。
なのに! この献辞はちゃんと字幕翻訳されていなかったのです。
大意は間違っていませんが、「神が宿る細部」が飛ばされていました。

  Incomparable Fay Wray

と書かれた中の、フェイ・レイという固有名詞が訳されていない!

もちろん、フェイ・レイとは女優の名であり、オリジナル「キング・コング」の主演女優です。今回のリメイクは、ピーター・ジャクソン監督が9歳の時にTVで観て魅せられた「キング・コング」とフェイ・レイという女優への愛から生まれた作品なのに・・・。この献辞をきちんと訳さないとは、これは作品に対する犯罪とも言えるのでは、と、最後の最後に劇場で憤慨してしまいました。

字幕は「ロード・オブ・ザ・リング」の時も、ファンから随分と文句が出た戸田奈津子氏。
もちろん、字幕翻訳は字数制限の厳しい特殊なものであるとは分かっていても、ここでこの人名を出さずして今回のリメイクは成り立ちますまいに。

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2004.06.29

アデラ/ニック・カーター、プラハの対決

「アデラ/ニック・カーター、プラハの対決」という物凄いチェコ映画があるのだけれど、なんとDVDが出ていたのを今日知った。SFマガジンの特集でちらっと紹介されていたので。

この映画、80年代末に、東欧の映画がまとめてビデオ化されたシリーズで発売された。私は当時たまたまレンタルビデオショップで見かけて、なんだかヘンな映画っぽかったので、借りて見たらばぶっとんだ。その後放出品として同じショップからゲット。以後我が家の家宝として珍重されてきている。何度見ても楽しめる。

ここでジャケットが見られます。

実は当時も、なぜかSFマガジンで紹介されたことがある(笑)。よほどSF者の琴線に触れる作品らしい。パロディーっぽいコメディーであり、メタフィクションめいた部分もあり、SF的な設定もありつつスラップスティックなミステリである。ギャグと言えるような「笑いを取ろう」とする部分はないのに、あちこちで笑わされてしまう。ブラックジョークに満ちているのに、見ているとなんだかほのぼのする。いや、あまり似たような味わいの作品がないので、紹介が難しいのだが・・・・。

しかしスゴイなあ。誰がDVD再発を仕掛けたんだろう?
あの頃一緒に紹介された他のタイトルはどうなったのかな?
あまり他の作品までカバーする余力が当時なかったので、今になってみると気に掛かる。

(追記)
調べてみると、実はチェコ映画のDVD化は結構進んでいるらしいことが判明。

チェコ怪奇骨董幻想箱というシリーズがすでにVol.3まで出ていた。Vol.2はなんと、「アデラ」を含むリプスキー監督作品3枚組だった。

チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.1 GOTH-BOX

チェコ怪奇骨董幻想箱(2) リプスキー-BOX
チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.3 ヌーベルヴァーグ&ニューウェイヴBOX

またリプスキー映画で美術を担当しているヤン・シュワンクマイエルの作品は、確かに随分DVDが出ていたように思う。「シュヴァンクマイエル映画祭2004」というものあるみたいです。
怪奇と幻想 シュバンクマイエル監督の32作品上映 (朝日新聞)
7月17日から8月13日まで、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムにて。

ところで、これらDVDについては、Amazonより安いオンラインストアがあった。例えばNTT-X。このあたりの価格って、どういう仕組みになってるんでしょうかね。

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2004.06.22

マルクス兄弟 後半戦6作がようやく再発に

マルクス・ブラザーズ コレクターズ・ボックス 〈5枚組〉 というものがついに出るらしい。やった! これで中期の作品が15年振りくらいに市場に帰ってくる。レンタルビデオの時代にビデオが出てから、長いこと廃盤になっていた。

[収録作品]
『マルクス一番乗り』(A Day At The Race)
『オペラは踊る』(A Night At The Opera)
『マルクスの二挺拳銃』
『マルクス捕り物帖』
『マルクス兄弟の珍サーカス』
『マルクス兄弟デパート騒動』

以前LDで出たのは、初期5作と飛んで「ルーム・サーヴィス」でした。幻と言われた第一作、「ココナッツ」が出たのは大事件でしたねえ。
# 「ココナッツ」(1929)
# 「けだもの組合」(1930)
# 「いんちき商売」(1931)
# 「御冗談でショ」(1932)
# 「我輩はカモである」(1933)
# 「ルーム・サーヴィス」(1938)

ところで、今回ようやくDVDになる中には、Queenが、その代表作であるアルバムのタイトルを引用した2作が含まれています。ここまではかなりいい感じなのですが、以後、徐々にマンネリ気味になり、最終作「ラブ・ハッピー」へと向かいます。これはVHSで出たのが最後ですかね?

あと、ピンク・パンサーシリーズのDVDが出るんですが、こちらは微妙に不完全。
ピンク・パンサー フィルム・コレクション
だって、極めて出来の良い「ピンクパンサー2」が未収録なんです! これは許せない!
他にも一応の関連作として、主演男優が異なる「クルーゾー警部」「ピンクパンサーの息子」などがありますが、これはまあいいとして・・・・。やはり「2」の未収録はあまりに痛い・・・・・。「2」を見ないと、「3」のオープニングは意味が分からなくなってしまうのですから。

このあたりの作品は、ほとんどビデオとLDで揃えて持っているので、私の場合、DVDは買い直しになります。
でも最近DVD媒体の劣化についてもささやかれていますし・・・・。悩ましいです。

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2004.04.03

パゾリーニ監督「テオレマ」 5月にDVD発売

Amazonで、DVDトップページにヴィスコンティBOX 3というのが見えたので内容確認してみた。続けてヴィスコンティで検索していたら「ボッカチオ’70」がDVDになっていた事を知る。LDは出た時に買ったから、DVDは買わなくていいかな。この作品は4人の監督による4話オムニバス作品で、フェリーニも参加している。

続けてフェリーニをチェック。お!「サテリコン」も出てるじゃないか! 私は日本版LDと米クライテリオン版LD BOXを買ってしまったくらい、この作品には思い入れが。初めて深夜放送で見た時の衝撃は忘れられない。

他にフェリーニはどの位出てるんだろうと調べてみると、しばらく廃盤が続いていた後期作品も多少復刻されたようだ。しかし妙に価格が高いなあ。せめて3千円代にして欲しいですよねぇ。
フェリーニは初期作品「寄席の脚光」「白い酋長」といったあたりが、レンタルビデオ時代を最後に流通が途絶えている。「道化師」も廃盤が長いですね。「フェリーニの監督ノート」も日本では出ていないが、「8 1/2」クライテリオン版DVDに収録されていたりする。あ~あ。アメリカ版では「白い酋長」も「寄席の脚光」もLDの時代からクライテリオン版があったのになあ。ちゃんとDVDでも出ているみたい。あと「女の都」「カサノバ」といったあたりの作品が、日本では今あまり流通していない。でもアメリカ版はあるのね。

次にパゾリーニ作品を検索してみる。パゾリーニはその死に様と相まって、非常にスキャンダラスな文脈で語られることが多い監督だが、私は、実際にはフェリーニの弟子とも言える芸術的な映像作家だと思っている。見たことのない人には、ずっと「テオレマ」を勧めてきたのだが、レンタルビデオショップの閉店ラッシュで、非常に見つけにくい作品になってしまっていた。5~6年前に中古LDをごく普通の値段で見つけた時は嬉しかったなあ。
「テオレマ」以外の作品は、順調以上な勢いでDVD再発が進み、大半の作品が入手可能になった。(あ。でも今調べてみたら、「王女メデイア」「豚小屋」あたりがない!)
もっとも寓話的で、幻想的で、詩的で、美しくも恐ろしい「テオレマ」、5月にDVD発売だそうです。
これでようやく人に「見てみて!」と言える・・・・・。
ヨカッタヨカッタ。

ところで、今日本でもパゾリーニ生の3部作と呼ばれる「デカメロン」「カンタベリー物語」「アラビアンナイト」が入手可能な状態になっている。先ほどフェリーニでは圧倒的に強かったアメリカでは、この3作は5年前くらいには廃盤になっており、eBayのオークションではかなりの高値になる。ところがAmazon.co.ukではごく普通に流通している。けれど同時にイギリスではフェリーニ作品はアメリカよりずっとカタログ上少ない。不思議ですね。

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2004.01.04

「悪魔のいけにえ」

親戚の女子高校生がこわい映画は好きだ、見たい、というのでそれならとトビー・フーパー監督「悪魔のいけにえ」(The Texas Chain Saw Massacre 1974)をビデオにダビング。久しぶりにLDを見たら、なんとこいつはいきなり劇場予告編から始まるのだった。うーん、なんでそんなことしたのかな? 先に出てくるものを見せちゃいかんのじゃないか?

ということで、しっかり予告編を削り、本編タイトルからエンドクレジットまでをビデオにした。
果たしてどんな感想が返ってくるのだろう・・・・。

それはそれとして、このホラー映画の古典は、現在ビデオ・DVDともに品切れなんですね。
まあいつかまた出るのでしょうが、DVD全盛時代でも、やはり廃盤の嵐はひっそりと潜んでいるのだなあと再認識。
こういうことがあるからVHSもLDも手放せないんだよなあ。全く・・・。

「ロード・オブ・ザ・リング」劇場公開の頃にはかなり揃ったピーター・ジャクソン監督作品も、既に「ブレインデッド」という代表作&大傑作が品切れ。をいをい。困りますね、ホント。

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2003.12.25

ピンク・パンサーの息子

あ、この作品知らなかったよ。

ピンク・パンサーの息子」なんて作品があったんですね。今日地元のブックオフで見つけて、550円でした。

ピンク・パンサーシリーズは子供の頃から大好きで、ほぼ全作LDで揃えてましたが、この続編は知らなかった。作品自体は1993年の制作らしい。ピンク・パンサーと言えばクルーゾー警部、クルーゾーと言えばこの人、ピーター・セラーズである。ファンサイトも多いが、このリンクはオフィシャルサイトです(笑)。

が、しかしセラーズは惜しくも1980年月24日に心臓麻痺で亡くなっている。セラーズのいないピンク・パンサーなんて!、という感じで普通敬遠しちゃうところなのだが、よく見ると監督はブレイク・エドワーズだし、音楽はヘンリー・マンシーニじゃないか! 黄金コンビだな。しかもお約束、上司役のハーバート・ロムだ! おお、そしてまるでウソのようだが、シリーズ第一作「ピンクの豹」でのヒロイン役、クラウディア・カルディナーレが出てる! 問題の主演は、クルーゾーの隠し子という設定でロベルト・ベニーニ。そしてあのクレイジーな中国人を演じたケイトー役のバート・クーク

まあここまで役者を揃えてくれたのなら、仮に駄作であろうがなんであろうが、入手しておかない訳にはいくまいて・・・・。

と、今日の記事を書くためにあちこち検索し回った訳だが、ピンク・パンサーシリーズは日本では軒並み廃盤ですね。海外ではDVDでも出てるのに・・・・。

小学生の私がこのシリーズに出会わなければ、ブレイク・エドワーズ繋がりで「ペティコート作戦」や「ティファニーで朝食を」なんて映画を子供のうちに知ることはなかったし、ヘンリー・マンシーニが好きになっていなければ洋楽趣味が生まれたかどうか怪しいし、ピーター・セラーズのファンになっていなければ、「博士の異常な愛情」やスタンリー・キューブリックという監督についても「マジッククリスチャン」(映画はなかなか見られなくて、原作本を読んでたんですが・・・)やその原作者のテリー・サザーン、ひいては現在リバイバル公開&DVD発売で話題の「キャンディ」の角川文庫版を子供の内に読んだりはしなかったろうなあ(笑)。ちなみに「Candy」はまさか日本語版まで出るとは期待しなかったので、US発売の限定盤を予約販売で買ってしまった・・・・。ま、いいか。

人間、どこでどう道を間違えるか分からない、ということですな。
はっはっは。


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