経済・政治・国際

2008.07.10

文化庁の物言いが面白すぎる

“iPod課金”議論、振り出しに 権利者とJEITA、小委員会で激論(IT Media)

 文化庁の川瀬室長は、暗礁に乗り上げた議論を見て「困った。いったいどうすればいいのか」と頭を抱える。
最後まで読んできて、この部分でいきなり脱力(笑)。自業自得だろうに・・・。

そもそも、私的録音録画小委員会では、補償金のあり方について根本的な見直しを含め議論するはずだった。それを一貫してミスリードして来たのは文化庁なのである。この当然の状況を見て「困った」とは何たる物言いか。当事者意識がないのだろうか。それとも、単に自分達の思い通りにならない場合はすぐさま途方に暮れてしまうとでもいうのだろうか?

「パンドラの箱を開けてしまったようだ」,大荒れの私的録音録画小委員会(TechOn)

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2008.06.14

祝! TASPO崩壊!

実はこれ、法律には抵触しない???:タスポ付き自販機というエントリは、写真のおもしろさもあってか随分見ていただけた方が多かったようで驚いた。そのエントリのコメントでも情報をいただいたが、実際のところ法律上どうなっているのかはまだ調べていない。ただ警察の指導で取りやめた、ということは、やはり法律上はなんの問題もなかったということだろうと想像される。実際どうなのだろう?

・・・と悩む必要ももうすぐなくなりそうだ。

<たばこ店>タスポ貸すからブザーで呼んで 法的には問題なし(Yahooニュース〜毎日新聞)


<たばこ店>タスポ貸すからブザーで呼んで 法的には問題なし
店主のタスポを貸し出すため呼び出しブザーが取り付けられた自動販売機=2008年6月5日、遠藤雅彦撮影
 佐賀県上峰町のたばこ小売店が5日から、店前の自動販売機に取り付けたブザーで店主(58)を呼び出し、店主名義の成人識別ICカード「タスポ」で購入できるようにした。タスポ導入で売り上げ激減の店が多い中での苦肉の策。カードを発行する日本たばこ協会は「成人であることを確認すれば対面販売と同じ」と話しており、この販売方法に違法性はないという。

そりゃそうである。在庫を手元に持っていようが、販売機の中に仕舞っておこうがそれは自由だろう。ただ店主が在宅していなければならないという制約があるから、自動販売機といっても店側は全然楽にならないという妙な状態ではある。

免許証方式 普及は『?』 たばこ自販機の成人識別装置
(東京新聞)

予想通り、というか、普及するわけもないTASPOの状況を睨み、財務相は免許証による識別装置も認めることにした、というニュースが。しかしこれも、実際はTASPO開始前から出来ていた装置である。

「タスポがないと買えない」という宣伝のウソ
(Safety JAPAN)

やはりどう考えても、TASPO推進は利権絡みだったとしか思えない。もしくは、喫煙者を個人レベルで管理するつもりのものだったのだろう。

それにちょっと冷静に考えてみれば、ここまでやって得られる成果は、未成年の喫煙防止、だけである。未成年がタバコを吸わなくなったとして、何がどう変わるのだろうか? 景気が良くなるのか? 社会が良くなるのか? 犯罪が減るのか? そもそもが、これほど大騒ぎして個人管理カードを導入し、小売店に軒並み新型自動販売機を買わせる必要がどこにあるのか?

・・・ということでももう悩まずに済みそうだ。
うっかりTASPOを作ってしまった方は、さっさと廃棄してしまおう。対人販売と免許証認証でほとんどこと足りるに違いない。そうやって、TASPO利権を狙っていた人々には、しっかりと損をさせてあげようではありませんか。

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2008.06.11

どさくさ紛れの「青少年有害サイト規制法」

法律13本、駆け込み成立 改正少年法など(Asahi.com)

ハンセン病問題基本法や改正少年法など政府提出、議員立法の法律計13本が11日の参院本会議で可決、成立した。首相問責決議案の提出後は国会が空
転するのを見越して、関係者から早期成立を望む声が強かった国民生活や人道目的にかかわる法案はそれに先立ち採決することで、与野党が合意していた。


 北朝鮮籍船舶の入港禁止や同国からの禁輸を、4月から10月まで半年間延長することも承認された。

 一方、政府の06年度決算は民主、共産、社民の反対多数で不承認となった。民主党は税金の無駄遣いが是正されていないと主張。93年の90年度決
算以来の参院不承認となった。不承認の場合でも予算のように衆院の議決を優越させる規定はないが、すでに支出済みの費用のため、今後の予算執行に影響はない。
図

「青少年ネット規制法」成立(IT Media)


2008年6月11日、日本国憲法下にて初めての首相問責決議の可決がニュースになっている。しかし、もしかしたらそれとはまったく別に、この日付は日本の歴史を大きく変えた日になってしまうかも知れない。問責決議採択を睨んで、極めて短時間の議論(=つまりはロクに検討していないという意味である)で多くの法案が駆け込み採決された。その中でも、青少年有害サイト規制法は極めて危険な内容を含んでおり、現在の日本社会を大きく変えてしまう可能性を秘めている。

ネットを検索していただければすぐに分かるように、この法案に賛成している民間からの意見はほとんどなく、大半は政府が表現の自由に介入する枠組みを含んでいることに反対している。

衆院通過した「青少年ネット規制法案」に新聞協会が懸念表明
(IT Media)
「参院で慎重な議論を」——ヤフー、MSなど5社「ネット規制法案」に懸念(IT Media)

この法案のどこに危険が潜んでいるのか。そうした問題分析についてはエントリを改めたいと思っているので、本日は下記に法案全文を引用しておくことにする。赤色部分は筆者による。


青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案(法案全文)
目次

 第一章 総則(第一条—第七条)

 第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等(第八条—第十二条)

 第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等(第十三条—第十六条)

第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等(第十七条—第二十三条)

 第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等

  第一節 フィルタリング推進機関(第二十四条—第二十九条)

  第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援(第三十条)

第六章 雑則(第三十一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして、青少年の権利の擁護に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「青少年」とは、十八歳に満たない者をいう。

2 この法律において「保護者」とは、親権を行う者若しくは後見人又はこれらに準ずる者をいう。

3 この法律において「青少年有害情報」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう。

4 前項の青少年有害情報を例示すると、次のとおりである。

 一 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接的かつ明示的に請け負い、仲介し、若しくは誘引し、又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報

 二 人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報

 三 殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容の情報

5 この法律において「インターネット接続役務」とは、インターネットへの接続を可能とする電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。以下同じ。)をいう。

6 この法律において「インターネット接続役務提供事業者」とは、インターネット接続役務を提供する電気通信事業者(電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)をいう。

7 この法律において「携帯電話インターネット接続役務」とは、携帯電話端末又はPHS端末からのインターネットへの接続を可能とする電気通信役務であって青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものをいう。

8 この法律において「携帯電話インターネット接続役務提供事業者」とは、携帯電話インターネット接続役務を提供する電気通信事業者をいう。

9 この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)をいう。

10
この法律において「青少年有害情報フィルタリングサービス」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するための役務又は青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによって青少年有害情報の閲覧を制限するために必要な情報を当該青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させる者に対してインターネットにより継続的に提供する役務をいう。

11
この法律において「特定サーバー管理者」とは、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバー(以下「特定サーバー」という。)を用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者をいう。

12 この法律において「発信」とは、特定サーバーに、インターネットを利用して公衆による閲覧ができるように情報を入力することをいう。

 (基本理念)

第三条 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策は、青少年自らが、主体的に情報通信機器を使い、インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに、適切にインターネットによる情報発信を行う能力(以下「インターネットを適切に活用する能力」とい
う。)を習得することを旨として行われなければならない。

2 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者による青少年が青少年有害情報の閲覧をすることを防止するための措置等により、青少年がイン
ターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくすることを旨として行われなければならない。

3 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、自由な表現活動の重要性及び多様な主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨として行われなければならない。

 (国及び地方公共団体の責務)

第四条 国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、青少年が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、及び実施する責務を有する

 (関係事業者の責務)

第五条 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、その事業の特性に応じ、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくするための措置を講ずるとともに、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。

 (保護者の責務)

第六条 保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進努めるものとする。

2 保護者は、携帯電話端末及びPHS端末からのインターネットの利用が不適切に行われた場合には、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意するものとする。

 (連携協力体制の整備)

第七条 国及び地方公共団体は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策を講ずるに当たり、関係機関、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者及び関係する活動を行う民間団体相互間の連携協力体制の整備努めるものとする。

   第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等

(設置及び所掌事務)

第八条 内閣府に、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議(以下「会議」という。)を置く

2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 第十二条第一項の基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。

二 前号に掲げるもののほか、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項について審議すること。

(組織)

第九条 会議は、会長及び委員をもって組織する。

2 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。

3 委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣その他の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者をもって充てる。

 (資料提出の要求等)

第十条 会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (政令への委任)

第十一条 前二条に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

(基本計画)

第十二条 会議は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策についての基本的な方針

 二 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進に係る施策に関する事項

 三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及等に係る施策に関する事項

 四 青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援その他青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項

3 会議は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。

4 前項の規定は、基本計画の変更について準用する。

   第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等

(インターネットの適切な利用に関する教育の推進等)

第十三条 国及び地方公共団体は、青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとする。

2 国及び地方公共団体は、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための効果的な手法の開発及び普及を促進するため、研究の支援、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及)

第十四条 国及び地方公共団体は、家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

 (インターネットの適切な利用に関する広報啓発)

第十五条 前二条に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、青少年の健全な成長に資するため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の閲覧の制限等のインターネットの適切な利用に関する事項について、広報その他の啓発活動を行うものとする。

 (関係者の努力義務)

第十六条 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者その他の関係者は、その事業等の特性に応じ、インターネットを利用する際における青少年の
インターネットを適切に活用する能力の習得のための学習の機会の提供、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及のための活動その他の啓発活
を行うよう努めるものとする。

   第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等

 (携帯電話インターネット接続役務提供事業者の青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務)

第十七条 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、携帯電話インターネット接続役務を提供する契約の相手方又は携帯電話端末若しくはPHS端末の使用者が青少年である場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として、携帯電話インターネット接続役務を提供しなければならない。ただし、その青少年の保護者が、青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでない

2 携帯電話端末又はPHS端末をその保護する青少年に使用させるために携帯電話インターネット接続役務の提供を受ける契約を締結しようとする保護者は、当該契約の締結に当たり、携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対しその旨を申し出なければならない。

 (インターネット接続役務提供事業者の義務)

第十八条 インターネット接続役務提供事業者は、インターネット接続役務の提供を受ける者から求められたときは、青少年有害情報フィルタリングソフトウェ
ア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で
定める場合は、この限りでない。

 (インターネットと接続する機能を有する機器の製造事業者の義務)

第十九条 インターネットと接続する機能を有する機器であって青少年により使用されるもの(携帯電話端末及びPHS端末を除く。)を製造する事業者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込むことその他の方法により青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を容易にする措置を講じた上で、当該機器を販売しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。

 (青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者等の努力義務)

第二十条 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、青少年有害情報で
あって閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、次に掲げる事項に配慮して青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し、又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供するよう努めなければならない。

一 閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。

二 閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。

2 前項に定めるもののほか、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、その開発する青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスについて、その性能及び利便性の向上努めなければならない。

 (青少年有害情報の発信が行われた場合における特定サーバー管理者の努力義務)

第二十一条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならない。

 (青少年有害情報についての国民からの連絡の受付体制の整備)

第二十二条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して発信が行われた青少年有害情報について、国民からの連絡を受け付けるための体制を整備するよう努めなければならない。

(青少年閲覧防止措置に関する記録の作成及び保存)

第二十三条 特定サーバー管理者は、青少年閲覧防止措置をとったときは、当該青少年閲覧防止措置に関する記録を作成し、これを保存するよう努めなければならない。

   第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等

    第一節 フィルタリング推進機関

(フィルタリング推進機関の登録)

第二十四条 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及を目的として、次に掲げるいずれかの業務(以下「フィルタリング推進業務」という。)を行う者は、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができる。

一 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービスに関する調査研究並びにその普及及び啓発を行うこと。

二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの技術開発の推進を行うこと。

2 前項の登録(以下単に「登録」という。)を受けようとする者は、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、総務大臣及び経済産業大臣に申請をしなければならない。

3 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

 一 第二十六条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

 二 法人で、その役員のうちに前号に該当する者があるもの

4 総務大臣及び経済産業大臣は、第二項の申請をした者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、登録をしなければならない。

一 インターネットの利用を可能とする機能を有する機器を有し、かつ、次のいずれかに該当する者がフィルタリング推進業務を行うものであること。

イ 一年以上青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの開発又は青少年有害情報フィルタリングサービスに関する実務に従事した経験を有する者

ロ イに掲げる者と同等以上の能力を有する者

二 フィルタリング推進業務を適正に行うために次に掲げる措置がとられていること。

  イ フィルタリング推進業務を適正に行うための管理者を置くこと。

  ロ フィルタリング推進業務の管理及び適正な実施の確保に関する文書が作成されていること。

5 登録は、フィルタリング推進機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。

 一 登録年月日及び登録番号

 二 登録を受けた者(以下「フィルタリング推進機関」という。)の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 三 フィルタリング推進機関がフィルタリング推進業務を行う事務所の所在地

6 フィルタリング推進機関は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。

 (業務の休廃止)

第二十五条 フィルタリング推進機関は、フィルタリング推進業務を休止し、又は廃止したときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。

2 前項の規定によりフィルタリング推進業務を廃止した旨の届出があったときは、当該フィルタリング推進機関に係る登録は、その効力を失う。

 (登録の取消し)

第二十六条 総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進機関が次の各号のいずれかに該当するときは、登録を取り消すことができる。

 一 第二十四条第三項第二号に該当するに至ったとき。

 二 第二十四条第四項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき。

 三 第二十四条第六項又は前条第一項の規定に違反したとき。

 四 不正の手段により登録を受けたとき。

 五 次条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

 (報告又は資料の提出)

第二十七条 総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、フィルタリング推進機関に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

 (公示等)

第二十八条 総務大臣及び経済産業大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

 一 登録をしたとき。

 二 第二十四条第六項の規定による届出があったとき。

 三 第二十五条第一項の規定による届出があったとき。

 四 第二十六条の規定により登録を取り消したとき。

2 総務大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による公示をしたときは、当該公示の日付及び内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

 (総務省令及び経済産業省令への委任)

第二十九条 この節に規定するもののほか、フィルタリング推進機関及びフィルタリング推進業務に関し必要な事項は、総務省令及び経済産業省令で定める。

    第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援

第三十条 国及び地方公共団体は、次に掲げる民間団体又は事業者に対し必要な支援に努めるものとする。

 一 フィルタリング推進機関

 二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能に関する指針の作成を行う民間団体

 三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し又は提供する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者

 四 青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得するための活動を行う民間団体

 五 青少年有害情報に係る通報を受理し、特定サーバー管理者に対し措置を講ずるよう要請する活動を行う民間団体

 六 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧を制限する必要がないものに関する情報を収集し、これを青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者その他の関係者に提供する活動を行う民間団体

 七 青少年閲覧防止措置、青少年による閲覧の制限を行う情報の更新その他の青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関し講ぜられ
た措置に関する民事上の紛争について、訴訟手続によらずに解決をしようとする当事者のために公正な第三者としてその解決を図るための活動を行う民間団体

 八 その他関係する活動を行う民間団体

   第六章 雑則 

 (経過措置の命令への委任)

第三十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第四条 インターネットを利用して公衆の閲覧に供することが犯罪又は刑罰法令に触れる行為となる情報について、サーバー管理者がその情報の公衆による閲覧を防止する措置を講じた場合における当該サーバー管理者のその情報の発信者に対する損害の賠償の制限の在り方については、この法律の施行後速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (内閣府設置法の一部改正)

第五条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。 

  第四条第三項第二十六号の次に次の一号を加える。

  二十六の二 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第   号)第十二条第一項に規定する基本計画の作成及び推進に関すること。

  第四条第三項第二十七号中「青少年」を「前号に掲げるもののほか、青少年」に改める。

  第四十条第三項の表中 


食育推進会議

食育基本法

                                             」

 を

 「

インターネット青少年有

害情報対策・環境整備推

進会議

青少年が安全に安心してインターネットを利

用できる環境の整備等に関する法律

食育推進会議

食育基本法

                                    

                                                 」

 に改める。

     理 由

 インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、青少年の
インターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、フィルタリングソフトの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネッ
トを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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2008.06.08

サマータイムが(まかり間違って)実施されたら働くな(笑)

サマータイム10年にも、排出量取引も導入…首相表明へ(読売新聞)

数年置きに、思い出したように囁かれては消えるサマータイム導入。私は100%反対の立場なのだが、参考にしているのはサマータイム経験者である小林信彦氏の意見である。

小林信彦と言えばある世代にとっては怪人オヨヨ、別の世代にとっては紳士同盟などの小説を書いた人であり、また別の人にとっては映画評論家かも知れない。その作家・評論家である小林信彦は、週刊文春でコラム連載「本音を申せば」を持っているが、これまでに3回サマータイム導入反対の意見を書いてきている。現在発売中の6/12号でも再び反対意見を表明している。

前振りの後、まずは5/24朝日新聞天声人語を取り上げている。

<3年前の本社の世論調査では、導入への賛否はキレイに二分されていた。あれこれ味を想像するだけでなく、一度食べてみて判断する手はないかと思う。>
イヤミな文章である。毒入りギョーザも一度食べて判断しろというのか。サマータイム(夏時間)が毒入りであるのを、ぼくは知っている。なぜなら、かつて、四年間、体験しているのだから。
今でもサマータイム導入の話が出ると、高齢者はほぼ反対するそうだが、それは過去に経験したことがあるからだろう。いきなり生活時間帯を1時間早めようとしたら、しばらくの間は身体が慣れず、まずは不調になるのは目に見えているような気がする。
サマータイムとは、春から秋にかけて、日本中の時計の針を一時間すすめることである。仕事を一時間早く始めて、一時間早く終る。いかにもけっこうなことに聞こえる。
日本では、一九四八年(昭和二十三年)から一九五一年(昭和二十六年)まで導入されたが、一向に効果があがらず、一九五二年四月に廃止されている。高校生から大学一年にかけてのことで、眠かった、無意味だった、という記憶しかない。

(中略)

しかし、今回の導入の狙いは、別のところにあると思う。
ずばりといえば、サラリーマン(特に中小企業)の労働強化である。
五時に終わる会社が、もっと明るい内に終わります。そうなると、会社の帰りにビールを飲んだりして、楽しいですよ。お子さんとも遊べますしね。
導入論者は、だいたい、こういう甘言をもてあそぶ。昔もそうで、<明るい生活>をチラつかせたのである。

(中略)

これを自民党に求めている経団連にとっては、こんなうまい話はない。それでなくても、<残業>が問題になっている現在、システムとして労働強化、残業代不払いがやり易くなれば、これ以上のことはない。
仕事が伸びて、翌朝はフラフラで出勤するというのが、一九四八年〜五一年のサマータイムだった。今の日本は、当時より温度が上がっているので、さらにひどいことになる。
そういえば、ロシアでサマータイム廃止法案が下院に提出されたという記事を見た。心筋梗塞による死者が増えているのだ。

そもそもが、サマータイムに意味があるとすれば、緯度が高く、夏と冬の日照時間が大きく異なる地域だけだろう。Wikipediaに載っている「現在実施」「現在は廃止」「実施せず」の地図を見てみよう。高緯度の地域では実施できても、中緯度の地域では実施後に廃止されている実態が一目瞭然である。

またその頃にはなかった要素として、ビデオデッキや電子レンジは元より、夥しい数のコンピュータが社会には存在している。銀行・証券システム、交通システム、医療機器などを一斉に移行させなければならない。

仮にそうした移行コストを「一時的なもの」と切り捨てたとしても、人間が生物である以上、生体リズムの狂いだけはどうしようもあるまい。ただでさえ人口減と少子化に悩み、その上年間数万人の自殺者を生んでいる状況に対して、ダメ押しのように生活ストレスを上乗せしてどうなるというのか。

まかり間違ってサマータイムが実施されるようなことになったら、無理はせず、自分の体調に合わせて生活することを押し通すべきだろう。まず開始後2〜3週間は仕事になるまい。無理せず休もう。みんなで休もう。無理して働くと死ぬぞ!、を合言葉に。夏は暑いから、夜中になって涼しくなるまでなかなか寝付けないだろうけれど、省エネ目的ではエアコンも入れられない。寝付くためにエアコンを入れれば今度は身体に負担が掛かる。なんとか会社に行けたとしても、不調を覚えたら早退しよう。無理して働くと死ぬぞ!、を合言葉に。

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2008.06.04

実はこれ、法律には抵触しない???:タスポ付き自販機

タスポ:自販機につり下げ 福岡の業者「売上げ2割減り」(毎日新聞)
タスポの取り付けられた自販機=福岡県広川町新代で2008年6月3日午後、丸山宗一郎撮影


福岡県広川町の自営業者が、未成年者の喫煙防止策で導入されたたばこ自動販売機用成人識別ICカード「タスポ」を自販機に備え付け、自由にたばこが 買えるようにしていることが分かった。カードを発行する「日本たばこ協会」(東京)は「成人識別制度や業界の信用を失墜させる行為」として、全国初となる カード無効化も視野に入れて是正を求める方針。財務省たばこ塩事業室も「事態が続けば行政処分もありうる」と困惑している。

 業者によると、福岡県で導入された今年5月以降、売り上げが約2割減少。売り上げを増やすために同月下旬、家人名義のカードを自販機に針金で設置した。自販機には、同時に「この自販機専用タスポです。未成年の方はご使用になれません」などと書いた張り紙を付けた。

 県警八女署は先月27日、情報提供を受け「教育的観念から好ましくない」と、撤去を求めた。しかし、業者は「法律には触れてない」と拒否したという。

 日本たばこ協会によると、同様の例は先月、福島県で2件あったが、是正要請に即座に応じたという。

 この業者は、毎日新聞の取材に「たばこを買うかどうかは親の責任では。規制する法律ができない限り、カードを撤去するつもりはない」と話している。【平野美紀、丸山宗一郎】

う〜ん、思いつかなかった・・・。コロンブスの卵(笑)。
東京などはこの先行事例に倣ってみてはどうでしょうか。
そもそもタスポって相当無意味だと思いますし・・・。

タスポ:自販機に添付で関係団体など困惑/業者は「法に触れぬ」と撤去拒否/福岡・広川町

しかし、なんとすぐに撤去してしまったらしい・・・。残念。

タスポ:自販機添付の業者が撤去 福岡・広川

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2008.06.01

[著作権法]燎原の火よ、燃えさかれ

池田信夫さんのblogにて、知的財産権研究会のシンポジウムにおける、会長中山信弘氏の発言が紹介されている。

中山信弘氏の情熱(池田信夫blog)
凄い。文字通り、長老による決定的かつ完全な宣言だ。

シンポジウム開催前のインタビュー記事もネット上で読むことが出来る。

著作権法に未来はあるのか(ビジネス・ロウ・ジャーナル)

上記インタビューの3ページから一部を引用しておきたい。

 著作権法はこれまで創作者やそれを伝えるメディアなどごく限られた人たちのものでしたが、いまやインターネットを通じて全ての人・企業にとって関わりの ある法律となりました。従来は、一般の方々の声は我々学者が代弁しなければいけないと思っていましたが、音楽レコードの還流防止措置に関する議論の頃から、燎原の火のごとく一般ユーザーの声が出てくるようにもなっています。私自身、それ以来、著作権法におけるユーザーである一般の方々の声は極めて重要であるという意識を持っています。一般の方々の声が、インターネットを通じてどんどん出てくるというのは面白いですね。著作権法を取り巻くプレーヤーが昔と大きく異なってきたということは、ルール自体も草野球のローカルルールからメジャーリーグのルールに変えていく必要があるということでしょう。社会の動きと合わせて、そういう目で著作権法を見るのも面白いのではないかと思います。

レコード輸入権問題はちょうど日本で個人blogが一般的になりつつあった時期と一致したこともあり、著作権法に関心を持つ層を大きく広げるきっかけとなった。これを中山先生が「燎原の火」と呼ばれていることには感慨を覚えずにはいられない。

現在著作権法を巡ってごたごたしている内容を列挙してみれば、やはり目先の対応だけではどうにもならないだろうことは明らかであろう。

・デジタル放送におけるコピーワンスもしくはダビング10問題
・iPodやHDDレコーダーへの私的録音補償金課金問題
・YouTubeやニコニコ動画を巡る著作権問題
・(今は一時的に息をひそめている)違法著作物のダウンロードを違法化する動き(いわゆる違法ダウンロード問題)
・著作物保護期間延長問題

音楽・文学・漫画・映画・美術など、世に著作物は多々存在し、私たちそれぞれが自分の愛する作品を持っていることだろう。好きな作品と作者がキライなファンはいないはずで(そりゃそうだ(笑))、要は誰だって応援したい相手は何人もいるに違いないのだ。著作権法の主旨とは、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」ものなのだから、文化が発展しなくなれば主旨に反するのである。著作者を応援するとは、最終的には経済的対価を渡してあげるということだから、そうした活動を最大限に活性化すべきなのである。

当blogのような泡沫個人blogであっても、燎原の火の一端を担うことくらいは出来るかも知れない。単なる一個人、単なる芸術作品愛好家としてではあるが、力強い中山先生の宣言に対して、己れの火を消すことはすまいとの決心を新たにした次第である。


8 1/2 愛蔵版
8 1/2 愛蔵版折角なので、すべての映画作品中でも、もっとも私が好きな作品の発売ニュースを一緒に書いておこう。これまで日本ではVHSしか出ていなかったもの。テリー・ギリアムもこの映画が一番好きとどこかで書いていたなあ。

全映画史における最高傑作「8 1/2」ついにDVD化なる!

ファン垂涎の特典も! 映画史に残るフェリーニの名作『8 1/2』がついにDVD化

フェリーニの傑作『8 1/2』がついにDVD化!! その驚くべき特典映像とは?


 「長さん。もうこれで映画はおしまいだね。もうこれ以上の映画はできない。こんな立派な映画、もう2度とできない」


 そういったのは、元宝島編集長で文筆家の植草甚一氏。文中の「長さん」とは映画評論家の淀川長治氏(ともに故人)だ。これは1965年の『8 1/2』(はっか にぶんのいち)の日本初公開時に交わされた会話である。


不朽の名作『8 1/2』25年ぶり復活 完全修復ニュープリントで7月日本公開

わ。劇場でもやるんだ! フィルムセンターで一度見ただけ。行きたい!!!

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2008.05.29

椎名さんには恨みはないが・・・

「消費者のみが負担」を消費者は本当に望んでいるのか,補償金制度とコピーワンス問題で権利者会議が会見(ITpro
「ダビング10を人質になどしていない」「メーカーは“ちゃぶ台返し”だ」 権利者団体が会見 (1/2)ITmedia
「ダビング10を人質にはしていない」権利者側が補償金問題で会見INTERNET Watch
「ダビング10」開始日確定できず 補償金で対立深く日本経済新聞
「ダビング10を人質にしてはいない」。権利者団体会見AV Watch

権利者団体の(とついひとまとめにしてしまいがちだが、正式には実演家著作隣接権センターの)椎名和夫さんは、元ムーンライダーズのメンバーでもあって、CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティという対談本を読んでみれば、ほとんどの音楽ファンは椎名さんに好意を持つことだろうと私は思うのだ。それでも、今回の記者会見の記事を読むと、何点かはどうしてもつっこみたくなってしまう。

ここでは、特に気になった点のみについてコメントすることにしたい。

【問】HDDを内蔵する「一体型機器」は、「汎用機」との区別がつきにくく、いずれは「汎用機」まで指定につながるのでは?

 2年の議論の結果、権利者はパソコンを対象に含めないことに合意した。これは権利者サイドの最大の譲歩。今、録音/録画メディアは、MDやDVDから HDDに移行しつつあり、「一体型の機器」を制度の対象にしなければ、補償金の「実体」が生まれない。メディアは「対象機器の拡大」と書くが、そうではな く「対象機器のシフト」が正しい。(Ascii)

・まず、PCを対象に含めないことに同意したことを「譲歩」と呼ぶのはさすがに誤りだろう。汎用機器はそもそも対象になり得ないのであって、譲歩があったから対象にならなかったわけではないのだ。
・MDやDVDとHDDの一番の違いはなんだろうか? HDDは配布・拡散できない、という点ではないだろうか。これはiPodについても同じである。MDは友人に渡せるが、iPodごと友人にあげるなんてことはないだろう。また仮にiPodを貸したとしても、そこから音楽ファイルのコピーが取り出せるわけでもない。すなわち拡散しないのだ。この2つのメディアを一緒くたに扱うのは本来無理ではないだろうか?

 そもそもなぜ補償金制度が必要なのかについては、椎名氏の発言をまとめると「メーカーが販売する機器や媒体が、ネットなどにおける無償コンテンツの発生、流通を支えていることに疑いはない。補償金制度は、そうした機器や媒体を販売することでメーカーが得た莫大な利益の一部を権利者に還元するもの」ということになる。(Ascii)
・私的録音補償金のそもそもが、「儲けているメーカーの利益を権利者に還元すること」だったっけ????、という大問題を含んでいる。これはすでに、現行著作権法に規定されている補償金の概念の先を行っているような気がする・・・・。平たく言えば間違い。冷たく言えばウソ。



椎名氏 補償金制度による対応をやめて、契約と保護技術による個別課金に委ねられるとすれば、それこそ正真正銘の「消
費者が負担する構造」が生まれて、メーカーがその「負担のサイクル」から未来永劫、開放されるだけのこと。その事実関係に消費者は気が付いていないように
思われる。




 メーカーが無償コンテンツの発生、流通を支えて上げてきた利益から、消費者とともに私的複製のコストを払ってきた。その金を消費者だけが負担することになるのは、本当に消費者が望んでいることなのか──。それを「消費者に知ってほしい」と椎名氏は訴える。
(Ascii)

・ここもなんだか随分怪しい。まず現在の補償金はMD・音楽用CD-Rなどのメディアにも含まれており、払っているのは消費者である。その証拠に、この補償金制度には(実際は機能不全な)返還制度が存在するが、返還請求を行えるのはメディア購入者、すなわち消費者である。返還を受けられる人が払った人のはずだ、と考えるのはごく自然ではないだろうか?


次に、JASRAC菅原理事の発言を取り上げてみよう。

この調査でレコーダの利用の実態はほとんはタイムシフトであることが明らかになっている。ということは機械上の問題がなければ多くのユーザーにとってコピーワンスでよかった話だったことがわかる。(ITPro)
・上記発言はJEITAの行ったアンケートに触れてのもの。
 JEITAによる意識調査(発表資料1発表資料2

 この発言を読んで思い出したのは、「今は鈍行しか止まらない駅に急行を止める必要があるかどうかの調査」というエピソードを紹介したワインバーグ著のシステム開発に関する本のことだった。少し説明すると・・・

現在は鈍行列車しか止まらない駅に、急行も止めてほしいという住民の要望があった。そこで調査員が駅に1日滞在し、急行を待っている乗客の数を調べてみた。すると、該当の駅で急行を待っている人は一日経っても一人もいなかったので、「急行に対する需要はなし」という結論となった。
デジタル放送にはコピーワンスによる制約があり、アナログTVをビデオに録画していた時のように、思うような保存・編集が行えない。そこで必然的にタイムシフトのみの利用となる。そこでもっと自由な利用を望むユーザーの声が大きくなった。そこで現状の利用形態を調べてみると、タイムシフトのみに使用しているユーザーがほとんどだった、と。これをどう解釈するか、という問題である。

もちろん、「タイムシフトがほとんどということは、コピーワンスで良かったのだ」と考えることも出来るかも知れない。ただその場合、「なぜコピーワンスの評判が悪かったのか?」という原因を見誤る結果となるだろう。コピーワンス制限があるんじゃタイムシフトくらいにしか使えない、というのが本当のところではないのだろうか。急行が止まらない駅で急行を待つ客なんて存在しないのだ。

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2008.05.26

最初に無理を言っておけば、あとで譲歩になるのか?

「ダビング10」6月2日開始はムリ--民放連会長がメーカー側に譲歩を求めるコメント(CNET Japan)

日本民間放送連盟会長による上記コメントは、ただの視聴者からすればかなり腹立たしいものである。

総務省、文化庁の場で、放送局と権利者の皆さんが大幅に譲歩したことは、国民、視聴者の皆さんに十分理解されていると思う。権利者の皆さんを失望させることだけはないように、協議がソフトランディングすることを願っている

権利者が失望しないことがそれほど大事なのだろうか?
消費者がうんざりするほど嫌気が差したとしても、それは問題ではないのだろうか?

ダビング10を巡る経緯については、MIAUによるシンポジウムが非常に参考になる。
あらためて下記をご覧いただきたい。

シンポジウム「ダビング10について」のご報告(MIAU)
特に、デジコン委員会にも参加されていた、主婦連・川村真紀子さんの資料に注目。
河村真紀子・「デジコン委員会-ダビング10への経緯概要説明」
* http://miau.jp/20080116/kawamura20080116.doc

要は、放送事業者が、最後まで我を張り通していたがゆえに全然結論が出なかったのである。最初に思い切り高いハードルを要求してそれを主張しつづけておけば、少し下げるだけで「譲歩した!!!」と言い張れる。「ダビング10では権利者が大幅譲歩した」という物言いは、要はゴネ得、という意味にしか聞こえない。

なぜなら、上記デジコンにおいても、何度質問されても譲歩できない理由を明らかにはしていなかったらしいからである。こうした振る舞いが許されるのならば、消費者としては「コピーフリー・補償金なし・無限世代コピーしかあり得ない!!!」と主張させていただきたい。それで雀の涙ほどの補償金を嫌々了承して、「譲歩したじゃないか!!!」と言い張らせていただきたい。

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2008.05.20

要は、消費税でまかなおうとするのは間違い、ということでは?

低所得ほど負担増 年金世帯は月7000—8000円増(東京新聞)
 政府は、全国民が加入する基礎年金を現行の「保険料方式」から、財源すべてを税でまかなう「全額税方式」に転換した場合、家計への影響も併せて試算した。総じて、基礎年金分の保険料が軽減される額よりも、消費税負担の増加額の方が大きくなるという結果になった。
というニュースなのだが。

 サラリーマン世帯を所得階層別にみると、月収入が二十九万四千円の世帯の月々の負担額は、基礎年金の保険料分が四千円なくなる一方で、消費税負担 額は六千−七千円アップ。差し引き二千−三千円の負担増になる。これに対して保険料の半額を負担している企業は、税方式により四千円下がる。

 月収入八十五万七千円の世帯の負担増額は〇−三千円。所得階層の低い方が、負担の増加率は大きくなり、“逆進性”が強まる。

これを見る限りでは、全額税方式自体が問題というより、単に「すべてを消費税でまかなおうとすると負担の逆進性が強まる」というだけの話に思える。つまり、あくまでも消費税アップの布石として国民を洗脳しようとしているだけなのではないだろうか。

ニュースが続いている道路財源の無駄使いだけでなく、こんな話もある。

公務員住宅を廃止して公平な社会に
(Safety Japan)

要は、財源を生み出す方法は他にいくらでもありうるわけで、「消費税を上げる以外に方法はない」というのがそもそも嘘だということをまずは忘れないようにしておきたい。

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2008.05.06

今年は何か結論が出るのか?:私的録音補償金

実に不可解なニュース。事前に新聞ネタになっているということは政府筋からのリークだろうか。

不可解、というのは、仮にこれが真実だとしても、リークしたことによって生まれる利益があるとも思えないからである。そもそも、見当違いも甚だしい「iPodやハードディスク内蔵レコーダーを補償金対象にしてくれないと、ダビング10やらないぞ」という脅しを記事で「秘策」などと呼んでいるのが本気なのか嘲笑なのかすらよく分からない。

冷静に考えてみよう。ダビング10の開始を待ち望んでいる人なんて実在するのだろうか?(笑)
いないなら、そもそも脅迫として成り立たない。

ダビング10みたいに中途半端な対応はどちらにせよ過渡期のもので、あるべき姿はNO-DRMだろう。結局コピーコントロールされていれば自由な編集も出来ないし、孫コピーも出来ないからメディア寿命と共に中身も消え失せる。役に立たないデジタル放送ソースに対して、どこまで録画ニーズがあるのだろうか。あるとすれば結局はタイムシフトが主であろうし、その場合コピーワンスでも全く問題ないだろう。

結局うだうだやってる間に、今度は地上波停止の実施日が変わるのではないだろうか。
ダビング10がなりゆきで延期になったように・・・(笑)。


iPodに「著作権料」上乗せ 文化庁提案へ(朝日新聞)

2008年05月06日03時04分


 iPodなどの携帯音楽プレーヤーと、テレビ番組を録画するハードディスク内蔵型レコーダーに「著作権料」の一種を課金する制度改正の骨子案を文化庁がまとめた。8日の文化審議会に提案する。抵抗するメーカーに対し、課金を求める著作権団体が「秘策」で揺さぶりもかける。同庁は4年越しの論議に決着をつけたい考えだ。

 著作権料の一種とは、一般の人が家庭で音楽や番組を録音・録画する行為に対して課金されている「私的録音録画補償金」のこと。すでにMDレコーダーやDVDレコーダーといった録音・録画機器には導入されている。実質的にはメーカーが機器の売り上げから著作権者に支払っている。金額は価格の数%。


 最近登場した携帯音楽プレーヤーなどについては、著作権団体の要望を受け、文化庁が文化審議会にはかり、05年から本格議論してきた。実演家著作隣接権センターなど著作権団体と反対するメーカーの両者の意見を折衷した制度改正の骨子案をまとめた。

 同案では、携帯音楽プレーヤーとハードディスク内蔵型録画機器を挙げて「課金対象にするべきだ」と初めて明言する。一方で、メーカーに配慮して、録音・録画の機能がある機器でも、パソコンのような汎用性の高い機器や、携帯電話のように別に主な機能がある機器への課金は見送ることにした。


 課金予定額は案には記さず、メーカーなどに配慮して慎重に決める姿勢を強調する。課金が決まった場合、これまでと同程度かより低い率、金額では1台数百円前後、年間では計数十億円規模になると想定される。


 文化審議会・私的録音録画小委員会の審議で、メーカー側委員は反対する公算が大きい。メーカーは、課金で機器の値上げはしにくく負担が増えるとの思いがあるためだ。


 一方、著作権団体の「秘策」は、6月2日から導入する方針の「ダビング10」の拒否だ。デジタル放送のテレビ番組を自宅のハードディスク内蔵型レコーダーなどに録画した後、DVDなどに9回複製できる新しい方式だ。


 著作権団体は導入の条件として補償金の賦課などを求めてきた。補償金を課せないなら、新方式に同意できないという考えで、ニーズの高まる北京五輪までにメーカー側が受け入れを決断する、というシナリオに期待している。(赤田康和)


     ◇

 〈私的録音録画補償金〉 著作権法は、音楽やテレビ番組などについて、私的使用を目的とした家庭内での複製は認めている。ただ、デジタル方式の機器は、高品質の録音録画や複製が可能で、著作権者が得られるはずの利益を損なうおそれがあるとして、私的複製をする利用者に「補償金」の支払いを義務づけている。実際には個別の利用者から徴収できないため、メーカーがまとめて補償金管理団体に支払っている。現在の年間の総額は30億円前後。



関連エントリ:
コピー制御信号を脅しに使うことについて(benli)
著作権法の平成11年改正の際には,コピー制御信号に対応する機器を製造・販売する義務を負わせないことを前提としておきながら,コピー制御信号に対応させることを事実上メーカーに義務づけるために無料放送である地上波デジタルにスクランブルをかけていることだけでも本来許し難いのに,そのようにして半ば強制的に録画機器に対応させたコピー制御信号を,私的団体による徴収され分配される一種の税金の範囲を拡張することに反対させないための脅しとして用いるというのは許されることではありません。
目次3(無名の一知財政策ウォッチャーの独言)
5月8日の私的録音録画小委員会で、相変わらず、権利者団体と癒着した文化庁は、携帯音楽プレーヤーとハードディスク内蔵型録画機器を課金対象にするべきというペーパーを作り、権利者団体がダビング10の拒否という秘策で揺さぶりをかけるらしいが、文化庁も権利者団体もこんな適当な詐欺が今の時代に通用すると思っている時点でバカまる出しである。iPod課金とダビング10の間には関係がないし、コピーワンスにせよ、ダビング10にせよ、実質的に全国民に転嫁されるコストで不当に厳しいコピー制限を課している機器に、さらに補償金まで賦課しようとするのは不当の上塗りである。iPodや純粋なHDDレコーダーにしても技術の進展も踏まえて、なおその課金を正当化するに足る理屈は未だに何一つ示されていない。間違っているのは、いかなる場合でも「複製=対価」の等式が成立するという文化庁と権利者団体の歪み切った観念の方である。一ユーザー・一消費者・一国民として言わせてもらうが、私的録音録画問題に関する限り、妥協の余地など一切ない
私の見る限りユーザー・消費者からほとんど全くと言って良いほど期待されていないダビング10の拒否などいくらしてもらっても構わないが、そもそも不当だったものについて権利者団体が何かしらの権利を持っていると主張することからして間違っている。そんなことを持ち出すなら、そもそもの諸悪の根源たるB-CASの排除から、検討してもらいたいと思う。このような記事を読む限り、相変わらず、補償金問題に関しては、合理的な話し合いの余地などなさそうである。

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